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「マンガでわかる管理会計」は真面目に学び始めたい人のバイブル【書評】

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知識は、使って初めて意味がある。使いみちのない知識では、ただの大根である。そのまま食べてもあんまり美味しくない。

というわけで「管理会計」の話だ。

「財務会計」という言葉を聞いたことは多いかもしれないが、「管理会計」という言葉はあまり馴染みがないかもしれない。

「財務会計」が過去を知る会計だとしたら、「管理会計」とは未来を切り開く会計。

最近は副業という形を含めて、自分のビジネスを始める人も少なくない。どういう働き方であれ「自分の力でお金を稼ぐ力」が求められている時代だ。

そういった人が必ず身につけるべきスキルこそ「管理会計」だ。強力な武器になりえるものである。

今回「マンガでわかる管理会計」という本を寄贈いただいたため、そのレビューをこうやってしたためている。

「管理会計」というお硬いテーマを、大根おろしぐらいにスリおろして読みやすくしている本で、僕の方なズブの素人でも食べやすく料理された良本であった!

……と、最初にこれぐらい持ち上げておけば、あとは何を書いても許されるだろう。

四角いテーマを丸くした良本

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今回寄贈いただいたのは「マンガでわかる管理会計 〜はじめてでもわかる儲けのからくり〜」という本。

「堅苦しいテーマを馴染みやすくするために漫画化したシリーズ」のひとつだ。帯には「世界一やさしい〈利益を生む会計〉の本」と記されている。

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〈世界一〉とはなかなか大きく出たなと半信半疑でページをめくってみると、マンガという皮を被ったなかなかに本格派な内容である。娯楽として読むには肩が凝るのでおすすめしない。ぜひ「管理会計」を勉強したい人が手にとって読むべきだ。

自宅でのテレワーク中に、カモフラージュとして読むには最適だ。「なにマンガなんか読んでんの」と家族に突っ込まれても、「いや、いま勉強しているんだよ」と胸を張って言い訳できる。

さて。

〈マンガである〉という形式の最も大きなメリットは、〈ストーリーである〉という点にある。

つまり物語であり、そこには「日常」や「生活」がある。「管理会計」という難しいテーマであっても、それは日常に活かせる知識であり、役立つスキルであるということだ。

これを実感するのは実は難しい。

「管理会計」というキーワードでAmazonを検索すれば関係書籍がズラッと並ぶ。しかしそれらは「知識」としての参考書であって、「知恵」としての実用書は数少ない。

——いや、実際にすべての本に目を通したわけではないので断言をしてはいけない。ただ、検索結果の顔ぶれを見る限り、おそらく可愛い挿絵なんぞ一切許されないような「真面目な本」だと思われる。素人が手にするには、どれも重苦しい。

冒頭でもお話ししたが、どんな知識も経験も、活かせなくては意味がない。道具は、ただしく使えなくては意味がない。ドラえもんはもう少し道具の使い方を考えたほうが良い。

この本の良いところは、「知識をどうやって生活に活かしたら良いのだろうか?」という最も難しい課題を、マンガ=物語という形式をとったことでクリアしている点だ。

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たしかに「ただの女子高生が、自分の父親の会社の経営がヤバいからと、知り合いの会計事務所の代表のところに押し入って、どうやったら父親の会社を立て直せるかを教えてもらう」というストーリーは、なかなかぶっ飛んでいると思う。もうこの女子高生を働かせればいいじゃないか。

しかしそんな仰天ストーリーでも、実際に会社で起こり得る経営課題を例に出しつつ、「管理会計という武器をどうやって使ったら良いのか」がわかりやすく表現されているからこそ、受け入れやすい。身に沁みいってくる感じがある。

マンガだからこそ、ちょっとご都合主義的な流れでも納得できるし、極端な例だからこそわかりやすかったりするのだ。

この本は、座学を目的とした専門家になるための本ではない。知識を極めることが目的ではない。

「管理会計」を学びたいと思った人が最初に手にするべき、「管理会計」という道具の使い方を記した本だ。

「管理会計」は自分でビジネスをする人が知っておくべきスキル

管理会計を知らない人のために、その何たるかについて少しお話ししよう。

偉そうなことを言ってみたが、私もこの本をいただくまで知らなかった。大学の経済学部を卒業した私だが「か」の字すら聞いたことがない。

一般的には「財務会計」のほうがメジャーだろう。これなら私も知っている。

勉強したことがない人でも、「貸借対照表」「損益計算書」「キャッシュフロー計算書」といった言葉は耳にしたことがあるだろう。確定申告を自分で作っている人は、避けては通れない道だ。

これらはいわば「外部報告のための会計」だ。

株主、金融機関、税務署などといった利害関係者に対して、業績を把握してもらうために提出するものだ。

一方の「管理会計」は、自社の経営に活かすための会計。会社の進むべき方向を予想してくれるものである。

——ということらしいが、パッとイメージもつきづらいだろう。

たとえば以下の表は、本書でも紹介されている例で、ある会社が販売している商品の利益を計算するための表だ。

まんじゅう ようかん
売上 100 1,000
原材料費 30 400
人件費 10 300
固定経費 40 450
利益 20 △150

「売上」から「原材料費」「人件費」「固定経費」を差し引けば、その商品の利益が出る。財務会計的には、利益を出している「まんじゅう」の方が優秀で、赤字を出している「ようかん」はお荷物と解釈できる。

しかし「管理会計」では未来に目を向ける。これから伸ばしていくべき商品は何かを探るために、この数字を紐解いていくのだ。

上の表を例にすると、売上から差し引く経費の種類を「変化するもの(変動費)」と「変化しないもの(固定費)」に分類。

そして「売上」から「変動費(=原材料費)」を差し引いた金額「限界利益」を算出するのだ。

まんじゅう ようかん
売上 100 1,000
原材料費 30 400
限界利益 70 600
人件費 10 300
固定経費 40 450
利益 20 △150

こうすると、ひとつの事実が見えてくる。

「ようかん」が赤字を出している理由の多くは「工場の家賃」や「機械設備の減価償却費」といった固定経費が原因。

これらは売上に関係なく掛かってくる費用であり、売上が少なくなれば赤字も増える。しかし売上が伸びれば、その分だけ利益はどんどん増えていく可能性を秘めている。

逆に「まんじゅう」は限界利益が少ないため、売上が伸びたとしても大きな利益アップには繋がりづらい。

そう考えると、この会社が注力すべき商品は「ようかん」であると考えることができる。

このように、「財務会計」が過去を知るための会計なのに対し、「管理会計」は未来のための意思決定のための会計となっている。

儲けのカラクリを知る学問

「管理会計」に興味が湧いた人でも、大学で渡されるような参考書を買ってしまっては、おそらくやる気も何もなくなってしまい、途端に挫折してしまうだろう。

まずはこの本を手にとって、自分の日常の中にどうやって取り込んでいったら良いかを考えてみよう。本格的に学ぶのは、そのあとでも遅くはない。

興味の種に水をやり、芽を育むことが、まずは大切。そのための本として選ぶなら、この本は間違いなく最適だろう。

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