文房具

万年筆「カクノ」を徹底レビュー!透明軸の限定モデルや書き味の解説あり

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1,000円で手に入る万年筆「kakunoカクノ」。非常に安価に手に入る万年筆ながら、品質が高く、書き味も良いとして人気の商品だ。

今回、極細の万年筆が1本ほしいと思い、初めてkakunoカクノを購入してみた。これが評判通りの良ペンで、これから長い付き合いになりそうだったので、この機会にご紹介しておこうと思う。

1,000円万年筆「カクノ」とは

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kakunoカクノは、日本が世界に誇る老舗文房具ブランド「PILOT社」が販売している、エントリーモデルの万年筆だ。

はじめての万年筆が、愛着のあるペンになる。シンプルで使いやすい万年筆、カクノ。」をコンセプトに、子ども〜若い人を中心に、今まで万年筆を使ったことがない人に向けて展開した万年筆。

「高級感」よりも「親しみやすさ」「扱いやすさ」を重視したデザインではあるが、その使い心地の良さから、万年筆愛好家の中でも人気にあるペンである。

過去には「グッドデザイン賞」「キッズデザイン賞」を受賞するなど、使い心地の良さには定評なる万年筆となっている。

カクノ気負わずに使える本格派万年筆

価格が1,000円という破格の安さを誇る万年筆ですが、だからといって「手抜き」「チープ」「模倣」ではない。

万年筆としての仕組みや構造、そして書き味は、大人が使っているものと遜色ない。長年の歴史と技術を持つPILOT社だからこそ、安心して使えるクオリティとなっている。

「楽しく」「正しく」「気軽に」というテーマに偽りなく、誰でも気軽に、気負いすることなく使えるのは、本当に嬉しいことだ。

1本数万円という万年筆では、どうしても気負いしてしまう。取り扱いにも慎重になるし、何をするにも敷居が高く感じてしまう。

kakunoカクノは、良い意味で「雑」に使える。価格もデザインも、等身大で着飾ることのない "親しみ" に溢れたプロダクトだ。

カクノが書きやすい理由

kakunoカクノが「楽しく」「正しく」と謳っている理由は、その構造にある。

kakunoカクノのデザインは、「書く」という行為にこだわり抜いていて、以下のような特徴的な構造をしている。

個人的に、特に注目しておきたいポイントは「六角形の軸」と「三角形のグリップ」だ。

鉛筆のような六角形の軸は、デザインとして馴染みがあるだけでなく、机の上をコロコロと転がって行かない安定感を生み出す。「机から落っこちてインクが漏れる」といった事故を未然んに防いでくれるのだ。

また、三角形のグリップのおかげで、非常に持ちやすく、書きやすい。自然と正しい持ち方に導いてくれるので、小学生ぐらいの小さい子どもにもオススメしやすい。もちろん、大人が使っても非常に持ちやすいグリップ感だ。

カクノは万年筆初心者でもインク管理がしやすい

「万年筆はインクの管理が面倒くさい」という人もいるだろう。あるいは私のように「自分のお気に入りのインクで楽しみたい」って人もいると思う。

kakunoカクノは、カートリッジにも、コンバーターにも対応している。

カートリッジとは 、予めインクが充填されている小さなボトルで、これをkakunoカクノに差すだけですぐに使い始めることができる。カートリッジの中のインクが無くなったら、新しいカートリッジを付け直すだけでOKだ。

コンバーターとは、インクの入っていない空のボトルで、これをkakunoカクノに刺し、自分の好きなインクを吸引して使用するものだ。インクはもちろん、PILOT社のものでなくても大丈夫だ。

kakunoカクノはどちらにも対応できる。初めて万年筆を使う人は、まずはカートリッジ式を使い、慣れてきてインクの色を変えたいと思ったら、コンバーターに切り替えるのが良いだろう。

カクノのラインナップ・各シリーズの詳細

kakunoカクノは、大きく分けて以下の3種類に分類できる。それぞれ「取り扱っているペン先の太さ」や「コンバーターが付属するかどうか」などの違いがあるので、自分の目的に応じて検討しよう。

カクノのラインナップ

ペン軸が黒いシリーズ

ペン軸が白いパステルカラーシリーズ

ペン軸が透明な限定シリーズ

ペン軸が黒いシリーズ

ペン軸が黒く、キャップの色が鮮やかなシリーズ。カラーバリエーションは「オレンジ」「ピンク」「レッド」「ライトグリーン」「ブルー」「グレー」の6色展開。

ペン先は「M(中字)」「F(細字)」の2種類しかない点に注意。「EF(極細字)」が欲しい人は、次に紹介する2つのシリーズを選ぶことになる。

ペン軸が白いパステルカラーシリーズ

ペン軸が白く、キャップの色が淡いパステルカラーとなっているシリーズ。カラーバリエーションは「ソフトピンク」「ソフトブルー」「ソフトバイオレット」「ソフトイエロー」「ノンカラー(クリア)」の5色展開。

ペン先は「M(中字)」「F(細字)」「EF(極細字)」の3種類。EFの極細字はかなり細いので、手帳などに使うときには最適だ。

ペン軸が透明な限定シリーズ

ペン軸が透明(クリア)で、キャップが色付きで透明なシリーズ。限定モデルとなっていて、価格は1,500円と若干高い代わりに、コンバーターが付録してくるタイプ。

ペン先は「M(中字)」「F(細字)」「EF(極細字)」の3種類。吸引したインクの色がボディに透けるのがキレイなので、個人的に一番好きなモデルだ。

「デザインがポップすぎて、ビジネスで使いづらい」と感じていた人も、これらのスケルトンタイプのデザインであれば「ちょっと遊び心が効いてるペン」として仕事にも活かしやすいだろう。

カクノ(限定モデル)の外観・詳細・書き味

私が購入したのは、「限定モデル」でカラーは「ブルーブラック」。ペン先は、ほぼ日手帳にも使えるように「EF(極細字)」を選んだ。

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パッケージには「限定」の文字があり、「コンバーターとスポイト付き」というコメントが付いているのが特徴。

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同封されているのは「カートリッジインキ(黒)」「お手入れ用スポイト」「説明書」「コンバーター」。

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コンバーターは、軸の中に最初から取り付けられている。パッと見ると「あれ、コンバーターないじゃん」と勘違いされがちだが、そこは安心してOKだ。

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コンバーターには、吸引する特の回す向きが記載されている。こういうちょっとした優しさが実に素晴らしい。

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はじめて万年筆に触れる人にもやさしい「説明書」も付いてくる。インクの交換の仕方や、手入れの方法も記載してあり、勉強になる。

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ペン先にはトレードマークのニコニコマーク。

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顔のデザインは他にも「口を開けずに笑ってる顔」「舌を出したイタズラ顔」「ウインクしている顔」などのバリエーションがある。どのシリーズの、どのペン先の太さを選ぶかによって変わるようだ。

kakunoカクノのような比較的安価な万年筆は他にもあるが、EF(極細字)を取り揃えているのは数少ない。私が今回kakunoカクノを買った理由もそこにある。

EF(極細字)でもインクフローは良好で書き味は抜群

EF(極細字)はかなり細く、細かい字を書くことが可能。ほぼ日手帳の小さなマス目にも、キレイに文字をプロットしていくことができる。

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ペン先の素材はスチールで、しかもEF(極細字)ということもあり、書き味はちょっとカリカリ気味

しかしインクフローは良好で、インクがかすれたり、紙を引っ掛けるような感覚はない。万年筆の良さである「滑らかで力を入れずに文字を書ける」という特性は、まったく損なわれていない

懸念点は長期間使わなかったときのインクの乾き具合

懸念として残るのは「使わない期間が長引いたときのインクの乾き具合」についてだ。

kakunoカクノのキャップは、ネジ式ではない。単純にパチンっと止めるだけなので、密閉具合が弱い可能性がある。

くわえて、誤飲事故への対策として空気穴が空いているため、割とインクは乾きやすいのではないかと考えている。

もちろん、毎日使う文にはまったく問題にならないし、1日〜2日ぐらい放置しても問題にはならないだろう。しかし数週間〜1ヶ月ぐらい使わないと、インクが乾いて書きづらくなる可能性がある。

その点は——まぁ万年筆という筆記具に共通した欠点ではあるのだが——少し気にかけておいたほうがいいかもしれない。

カクノは安いながらに高品質で安心な万年筆

kakunoカクノ」という万年筆は、安いうえの "万年筆らしさ" を貫いた良いプロダクトだと感じた。

「万年筆」という筆記具は得てして「高級」「扱いづらい」「敷居が高い」といったイメージを持たれがちだが、これであれば日常生活にすんなり溶け込めるだろう。

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  • この記事を書いた人

ばんか

Webディレクターとしてサラリーマンをやりつつ、個人でブログや執筆活動をするパラレルキャリアを実施中。 ITツールを日常で活かす方法を広く伝え歩くことをミッションとした「ITツールエバンジェリスト」です。AllAboutやYahooクリエイターズプログラムでも活動中。

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