私には3歳の娘がいます。娘が好きなのは、プリキュアよりジブリより、ピクサー映画(次いでディズニー映画)です。
きっかけはベイマックスでした。2歳の頃にテレビでベイマックスが放送され、それを試しに見せたら異常なほどハマったのです。
きっかけは偶然でした。しかしそれからは必然。それから私は積極的にピクサーやディズニー映画を娘と一緒に見るようにしてきたんです。
なぜかって?それには色々と思うところがありますので、その理由をお話しします。子育てをしているパパママの参考になれば幸いです。
1.悪いことをすれば、しっぺ返しに合う
すべての作品を通じて、「悪いことをすれば、しっぺ返しに合う」という絶対的な教訓を得られるのが、親として嬉しいところ。
例えば「トイ・ストーリー3」の「ロッソ」は最終的に保育園を追い出されてトラックの運転手と一緒になるし、「モンスターズユニバーシティ」では「サリー」も「マイク」も身勝手な態度を取ったために窮地に立たされる。
悪者に限らず、主人公であっても「悪い行いをすると、(形を変えて)悪い結果が待っている」という点が一貫しているのです。悪い行いをしたキャラクターが一切の報い無しにストーリーを完結することはほとんどありません。
この年頃はまだ、何が正しくて、何が悪いのか、判断ができない。そういった年代に対して「ダメ」の理由を説明するのは非常に難しいのです。
しかし世の中には、理屈抜きに、説明不要で『悪い』といえるものがあります。
嘘をついて人を騙し、おとしいれる。裏切る。人を不幸にして自分だけが幸せになる。傷つける。
「ダメなものはダメである」と肌と感覚で感じてもらえる、非常に良い教材だと思っています。
2.最終的にはハッピーエンド
どんなにツラい現実でも、最終的にはハッピーエンドになる。それがわかっているので、安心して観られます。
ピクサーもディズニーも、ストーリーはどれもパターン化されています。
「起承転結」がハッキリしていて、挫折や苦悩や失敗を経験し、努力と優しさをもって乗り越え、そして最後はハッピーになる。
この王道パターンがあるので、初めての映画でも安心なんですよね。
そして、決まりきった展開であっても、泣いて笑って楽しめるピクサー・ディズニー映画は、本当に素晴らしい作品なのだとつくづく思い知らされます。
3.歌と踊りで楽しめる
見て楽しい、聞いて楽しいのがディズニー映画です。歌と踊りがあるので、ストーリーがピンとこない小さい子供でも楽しめます。ピクサーの方は比較的少なめですね。
「白雪姫」に始まって、最新の「アナと雪の女王」まで、ディズニーのプリンセス映画には、どれも印象的な音楽があります。子供にとっても印象に残りやすいんでしょうね。我が娘も、それらの映画を見ては自分で歌って見せてくれます。
ただ漫然と映画を見るだけでなく、そこで得たものを真似できる。体現できる。歌と踊りにはそういう力があり、単なる映像作品以上の経験を与えてくれます。
4.登場人物の感情を感じ取りやすい
アニメーションだからこそ、豊かな表情とジェスチャーがあり、登場人物の感情を読み取りやすいのも特徴だと思っています。
「エルサ(アナと雪の女王)」の苦悩や、「ヒロ(ベイマックス)」の怒りと憎しみ、「ラプンツェル」が初めて外に出たときの喜びと後悔との葛藤など。
どれもこれも非常に人間臭く、人の中に渦巻く思考や感情の変化を感じ取りやすいのが、ディズニーやピクサーの良い所。
特に、主人公が聖人君子ばかりではなく、自分勝手でワガママで、ときには悪い行いをすることもあり、そこからどんどん変化していく過程が見られるのも特徴です。
5.大人も一緒に楽しめる
子供と一緒になって、大人が観ても楽しめる。共通の話題を子供と持てるというのは、とても嬉しいことです。共通言語を持てるとコミュニケーションが取れますから。
私は昔、まだ一人だったころは、あまりディズニー・ピクサー映画って観たことがありませんでした。興味が沸かなかったのです。
しかし娘のために録画した「ベイマックス」をきっかけに、私が熱中してしまいまして。「カーズ」「モンスターズ・インク」「ラプンツェル」など次々と手を出してきました。
ピクサー最新作の「リメンバーミー」も、家族で映画館に行きましたが、結局一番ハマったのは私でした。帰ってきてからも、挿入歌を延々と聴いています。なんなら一人でもう一回行こうかと考えているぐらいです。
繰り返し観ていられる、観ていても苦じゃないっていうのも特徴です。
確かに「飽きた」と感じることはあります。「ベイマックス」なんて10回は観ています。でも「もう一回観ろ!」と言われても、苦痛ではありません。普通に観ていられるし、なんなら最後のロケットパンチで泣くことだってできるでしょう。
個人差はありますし、私が「ハマりやすい」体質であることは認めます。でも、大人が観ても「つまらない」ものではなく、大人だからこそ得られる教訓があるのも事実。
食わず嫌いをせず、ぜひ一緒になって観てみてください。
6.安心安全な映像
「ドを超えた暴力的シーン」がないので、非常に安心して魅せられます。これはディズニー映画のコンセプトでもあります。
ときには冗談っぽく人を叩くシーンはあります。蹴飛ばしたり、物でぶったり。「ズートピア」の「ジュディ」なんて、電車の窓から羊を蹴落としたりしますからね。
でもそれはストーリーとして必要なことであって、そこを過度に強調することはありません。
流血するシーンなんてありません。「ラプンツェル」の「フリンライダー」が刺された場面でさえ、あからさまな出血は表現されていません。唯一血が描写されたのは、「ファインディング・ニモ」での「ドリー」の鼻血ぐらいでしょうか。
「スポンジボブ」や「トムとジェリー」などのアニメーションなどを私があまり好まないのは「理由もセンスもなく、ノリで暴力を振るう下品な表現」が多いからです。
執筆後記
最後に「子供にテレビを見せるのは良くないのでは?」と思われる人も多いと思います。
私も「見せ “過ぎる”」のは良くないと思います。ですがこの時代、テレビやスマートフォンと切り離して生活するなんて不可能です。排除して生活するなんて無理なんですから、上手に付き合う方法を考えたほうが現実的です。
個人的には、上述した通り、アニメーションから得られる学びや教訓も多いと考えていますので、テレビやアニメーションをそこまで害悪と考えていないです。
むしろ積極的に見せることで、自分の中の「正しさ」や「美しいもの」の基準や物差しを育んでもらえたらなって思います。
「2歳・3歳のガキンチョにはストーリーなんて分かるわけない」なんて思っているなら、それはあなたが子供を過小評価しすぎです。
子供は表現する手段こそ持たないですが、ちゃんと感じて、考えています。そこから学び取っています。
何が正しくて、何が悪いことなのか。基本的な「道徳観」を育てるための手段のひとつとして、ディズニー・ピクサー映画を活用するのは、悪いことではないと思いますよ。