一生モノの万年筆が欲しくて買ったのは、2,500円の子供用万年筆でした。かれこれ長い付き合いになりますが、いつまでも飽きることなく使い続けている、相棒的な存在です。
Lamy abc。子供に正しく、楽しく字を書くことを学ばせたいという想いから作られた、子供用の万年筆です。
一見すると子供っぽいかもしれません。しかし大人だからこそ、持ったときに手元から溢れるちょっとした遊び心が、個人的に心揺さぶられます。
それに、持ちやすい、書きやすい。木のぬくもりが感じられる暖かいペンでもあります。子供が最初に持つ万年筆というだけあって、手に持ったの “なじむ” 感じは、他の万年筆にはない心地よさです。
愛おしい万年筆「LAMY abc」
Lamy といえば Safari が有名かと思います。Lamy社のコンセプトは「機能によって形作られるデザイン」。機能的でありつつも斬新なデザインがというのが LAMY ならではです。
そのコンセプトは abc にも見られます。キャップを挿しておけば、ペンが転がっていくことがありません。
外したキャップをペンの後ろにくっつけることはできません。ですがペンの後ろにあるキューブ型のデザインがあるため、キャップを外したままでもペンが転がることはありません。
廉価版の万年筆というと、一般的にはプラスチックが使われるかと思います。abc のボディにはメープル材を使用しており、温度が感じられる素材となっています。木材ですから、一本一本で違った個性があります。また、長く使うことで手に馴染み、経年変色していくのも特徴です。
ペンの持ち手には少し硬めのゴム材が使われており、持った時のフィット感を向上させています。また、子供が持っても使いやすいように、ペン先が三角型になっており、指がピッタリとホールドされるようになっています。
ペン先の太さは一種類で、初心者用中字を意味する「A」というサイズで、素材はステンレス。気持ち太めな印象なペン先ですが、インクフローも良く、書きやすいです。
ただ個人的には細いほうが好みなので、EFサイズのペン先に交換しています。Lamy のペン先は簡単に取り外しができ、「Safari」や「Joy」などで使われているペン先と入れ替えることができます。
ペン先にマスキングテープを貼り付けて、そのまま引っ張れば、簡単に取り外しができます。(※写真はSafariですが、abcでも同じです)
廉価版の万年筆というと、ペン先がもろく、使い切りみたいな印象を持たれます。ですが Lamy の万年筆はペン先がダメになっても交換して使い続けられるので、安いからと言って使い切りということはありません。気に入ったボディさえあれば、ずっと使い続けていけるのです。
インクは使い切りのカートリッジも使えますし、Lamy製の吸引式コンバーターの利用も可能。私は吸引式コンバーターを使っており、お気に入りのインクを入れて楽しんでいます。
Lamy abc は子供用の万年筆という位置づけですが、その実、堅実な筆記具であります。大人が持つにも良い文具かと思いますよ。