Happy Hacking Keyboard。通称「HHKB」。2万〜3万円を超えるほど高額なキーボードで、タイピングの打感が気持ちいいと好評なキーボードです。
しかし高額が故に、あまりネガティブな意見が見えないのが問題です。
使っている人はみな口を揃えて「HHKBサイコー」と言い切ってしまう。高額な買い物をしたのだから、それが失敗だと思いたくない心理が働くのかもしれません。
でもですね。完璧なプロダクトなどありえないのです。光があれば影があり、一定の数のネガティブな意見があることも、忘れてはいけないのです。
そこで今回はHHKBでよく取り上げられる欠点をまとめました。
「買ってみたけど、なんか使いにくい。こんなはずじゃなかった」と、後悔する人が出てこないように、ご参考にしていただけたら嬉しいです。
US配列に矢印キーがない問題
HHKB、矢印キーがないモデルを使用しているが、Fnの小指長押しが多くかなり疲労するので、HJKLで操作が完結しない昨今のUIに対して不適切な設計であると思うに至った。手元のRealforceは矢印キーがあるので、手首の移動が発生する代わりに指は全く疲れない。
— Odashi (Yusuke Oda) (@odashi_t) January 10, 2021
HHKBの矢印キーが無いのかなり辛いんですけど、HHKBユーザーは間違えたりせずにFnキーを使って流れるように矢印キー操作をできるもんなんですか?
— 酔った勢いでJOIに寄付をするおじさん (@blue_jam) October 28, 2020
これは主にUS配列キーボードで取り上げられる問題。HHKBの英語配列モデルでは、矢印キーを排除することでコンパクトに仕上げています。
じゃあどうやって移動をさせるかというと、Fnキーとの組み合わせ。Fnキーを押しながら、該当するキーを押すのです。
USキーボードを買った人のレビューなどを見ると「すぐ慣れますよ大丈夫です」なんてコメントも見られますが、正直なところはどうなんでしょうか。
個人的には、やっぱり矢印キーはあったほうが良いと思うんですよね。指一本で操作できるわけですし、目に見えてタイピングできるわけですから。
US配列キーボード愛好家の方は、そのあたりを割り切って使うしかありません。使い続けて慣れるしかありませんね。
もしあなたが、私のように日本語配列キーボード愛用者なのであれば、この話は気にする必要ありません。JIS配列にはきちんと矢印キーが付いています。
Bluetoothがちょいちょい切れる問題
暮れに買った #HHKB のBT版、たまにセッションが切れてペアリングまで解除される
割と致命的(汗
有線モデルにすればよかったかなぁ
ハイブリッドには流石に手がとどかんかったからなぁ pic.twitter.com/5PEP8h98Vj— 猫家 江戸八@ゴミ屋敷をタダで貰ってDIYで魔改造してるプログラマ (@edohachi_nekoya) February 8, 2021
製品ごとの個体差があるのか、打鍵音はなぜかpro2よりもわずかに静かに感じ好感触だったのですが、とにかくbluetoothの接続が安定しない。私の使用環境では月に数回以上の頻度でbluetooth接続が切れていました。
via:Amazon.co.jp:カスタマーレビュー: PFU HHKB Professional BT 英語配列/白 PD-KB600W
他の方のレビューにもある通り、Bluetooth の接続が1日に何度も切れます。切れる時にキーが押しっぱなしの判定のまま切れることが多く、こんな状態で出荷していることに怒りを覚えます。
via:Amazon.co.jp:カスタマーレビュー: PFU HHKB Professional BT 英語配列/白 PD-KB600W
無線の方が便利だと安易な考えで買うと絶対後悔します。
Macで使ってますが頻繁に接続が切れるし、挙げ句の果てには接続自体ができなくなり3日でお蔵入りです。
結局以前から使っている有線タイプに戻しましたがとても快適です。おまけに、10分程度使っていないだけで勝手にMacとの接続が切れます。
省電力のための配慮なんでしょうが、ユーザビリティを大きく犠牲にしています、ストレス半端ないです。
しかも再接続するためには電源ボタンをわざわざ「長押し」する必要があります、なぜ長押しなんでしょうか、これも地味にストレス溜まります。via: Amazon.co.jp:カスタマーレビュー: HHKB Professional HYBRID Type-S 英語配列/墨
ネームに「BT」や「HYBRID」がついているモデルを対象に起こる問題。
主には、ちょっと古いモデルである「HHKB Professional BT」で起こる問題らしいが、最新モデルの「HHKB Professional HYBRID Type-S」でも珍しくないようです。
Amazonのレビューをはじめ、Twitterなどのつぶやきでも散見できるので、おそらく確かな情報なのでしょう。
こういうのは信頼の問題なので、「切れるかも」と気にしながら使うのは、精神衛生上あまりよろしくはないですよね。
ワイヤレスに対応しているのは「HYBRID」と「HHKB Professional BT」と呼ばれるモデル。それぞれワイヤレスにも有線にも対応しているので、Bluetoothの調子が悪くても、いちおう対応策は残されている。あるいは最初から、有線専用モデルを買うのもオススメ。
Bluetoothの接続不良はそれだけで大きなストレスになるので、自分がどのようなシーンで使うのかを、買う前にはキチンと検討したほうがよさそうです。
35,200円(2021/02/11時点)
キーボードが高くて手首が疲れる問題
更に致命的なことに、キーボード自体の高さが非常に高い。このまま使うと非常に腕が疲れる。事実上パームレスト必須。折角キーボードがコンパクトなのにパームレストを使うのであればスペースを有意義に使えるとは言えない。
via: Amazon.co.jp:カスタマーレビュー: HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/墨
全ての原因はキーボードの高さが高すぎて手を浮かせないと打ち辛い点にあります。パームレストあれば大丈夫という方もいますが、それがあるとデスクが狭くなりせっかくのテンキーレスコンパクトの意味が無くなります。私は手を少し痛めてます。
via: Amazon.co.jp:カスタマーレビュー: HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/墨
これは間違いない。買った人が例外なく感じるポイントでしょう。
HHKBはキーボード自体の厚みがあるため、普通にタイピングをしようとすると、どうしても手首を急角度に曲げる、あるいは浮かせて使うことになります。
これが非常にツラい。こんな状態では、長時間のタイピングなんて無理難題です。肩コリや腱鞘炎の原因にもなりそう。
そこで必須なのが「パームレスト」。キーボードの手前に配置して、手首を置くための木の板のことです。
こんな木の板一枚のために3,500円なんて馬鹿げていると思うかもしれませんが、HHKBを使うならパームレストはぜっっっったいに必要。断言できます。
HHKBが販売している純正モデルもありますが、FILCOが出しているものもオススメ。私が愛用しているのは後者です。
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キーが重くて長時間使っていると疲れる問題
一番肝心キータッチ感が全てを台無しにしています。
使ってみればわかりますが同じスイッチ機構のRealforceとはかなりタッチ感に違いがあります。
こちらのキーボードはかなり強めのタクタイル感(クリック感)があります。Realforceは赤軸ほどではありませんがリニア(クリック感がない)なキータッチです。
そのため長時間打っているとすごく疲れますし、なにより重く感じます。正直なところ高速タイプをしたい、長時間触っても疲れないという用途には全く向いてないと思います。
via: Amazon.co.jp:カスタマーレビュー: PFU HHKB Professional2 Type-S 白/無刻印(英語配列) PD-KB400WNS
キーを押したときに「重い」と感じる。あるいは「指先に力を込める感覚」「"押す" と意識してタイプする」なんて表現がされたりします。
これは感覚的な問題で、しかも何かと比較してようやく感じられるものなので、「HHKB=重い」とは断言できません。
しかし、たしかに私も、初めてHHKBを使ったときは「なんだが力が必要で、長時間使っていたら疲れそうだなぁ」と感じたのを覚えています。
もともとFILCOのMajestouchという赤軸のメカニカルキーボードを使っていたのですが、これと比べると明らかに "重み" を感じました。
しかしこれに関しては "慣れ" られる問題。長く使い続けていると、だんだん気にならなくなります。
人によって合う/合わないがあるのは仕方のないこと。使い続けても「重くてツラい」と感じる人はいるでしょう。
ただ、初めてタイピングしたときの重さに挫折して、「これは力の必要なキーボードだ」と決めつけることはしないでください。少しの間、我慢して使い続ければ、その先には快適なタイピングライフが待っています。
とりあえず1週間は我慢して使い続け、それから判断してみてください。くれぐれも初日で挫折しないように。
キー配列が特殊すぎて使いにくい問題
在宅勤務で頂き物のHHKB使ってるんだけど、半角全角変換の位置がいつもの場所と違うのに慣れない。。
CTRLキーも、昔はこの位置のキーボード使ってたんだけど、今は左下の位置に慣れちゃったな。。— まー (@mash0510) February 8, 2021
キー数を省略するためにFキーやctrl,delといったキーはFnキーを押しながら対応するキーを入力することで作動する仕組みですが、どれがどこのキーに対応しているのか、というのはキーの下側面に書かれています。その文字色が黒色で、またちょうど影ができる部分なので視認性がかなり悪く誤入力の原因がほぼこれです。特にendとpgdnが隣接しているため、テキスト入力中に誤爆すると隣のページにすっ飛んでしまい中々のストレス。
via: Amazon.co.jp:カスタマーレビュー: HHKB Professional HYBRID Type-S 日本語配列/墨
HHKBのキー配列が特殊で、いままで使っていたキーボードからの乗り換えに苦労する。なんて話を聞いたことがあります。
そういった場合は、自分でカスタマイズして使うことをオススメします。
活躍するのが「Karabiner」というアプリ。キーボード上に存在するキーの役割を自分好みに変更できてしまうアプリです。
Karabiner-Elements
A powerful and stable keyboard customizer for macOS.
たとえば以前、私はこのブログで、Macのようにスペースキーの横を英数 / かなキーに変換する方法をご紹介しました。
HHKBでMacのように親指で英数/かなを切り替えられるようにする方法
私が頑なにMacのJISキーボードを使っている理由のひとつは、親指で英数 / かなを瞬時に切り替えられるからです。 左の親指で半角英数に、右の親指で日本語入力に、一瞬で切り替えられる。この便利さを知っ
こんな感じで、使わないCapsLockキーをCtrlに変えてみたり、OptionとCommandを逆にしてみたりと、自分の好きなように変更できます。
キー配列なんかどうにでもなるのですよ。
まとめ
HHKBはたしかに、ちょっと特殊なキーボードかもしれません。クセが強くて、はじめのころは順応できない自分に苛立ちを覚えるかもしれません。
しかし、このキーボードが持つ、何物にも代えがたい快楽を知ってしまったら、もう他のキーボードには戻れない。そんな意見も珍しくないほど、タイピングが気持ちのいいキーボードです。
私も、その魅力にとりつかれた人のひとり。あなたにも、ぜひこの素晴らしさを感じてもらえたら嬉しいです。
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