Amazonの「タブレット用キーボード」の人気ランキングを開いているようなら、今からそれをそっと閉じて、改めて考え直してほしい。
iPadをはじめとしたタブレット端末で文章を打ちたいからと、タブレット専用のキーボードを買うのだけは止めたほうがいい。
これは経験談だが、打ち心地が悪かったり、打ったと思ったら反応してなかったりで、誤字脱字が絶えない。くわえて携帯性を高めるために横幅が狭いのが一般的で、タイピングする指が窮屈でしかたない。
結局、パソコンでの作業のほうが効率的でスピーディーだと気づいて、iPadでの執筆仕事を諦めてしまうだろう。
私は、そうなってもらいたくない。実際、iPadでの執筆作業は本当に素晴らしいのだ。道具さえ間違えなければ、あなたのiPadライフは、さぞ快適になるだろう。
タブレット用キーボードの限界
冒頭お話しした通り、「タブレット用」と謳っているキーボードは、買えばきっと後悔することになる。とても厳しい言い方をして申し訳ないが、少なくとも私は満足したことがないのだ。
満足できない最大の理由は、打ち心地の悪さだ。
タブレット用のキーボードは、基本的に「小さくて持ち運びにも便利」という点に商品価値を置いている。だから小さいし、中に組み込める構造にも限界が出てくる。そのため、
「キーを押したときの反応が悪い。遅かったり、反応しなかったり」
「キーが小さくて、狙った文字と違う文字を押してしまう」
「Macのキーボードよりも横幅が狭い」
といった事情が出てくる。
細かいキーボードの構造について話をすると、「パンタグラフ」やら「メカニカル式」やらと面倒な話になってしまうので、詳しくは以下の記事を参考にしてもらいたい。
【世界一わかりやすい】キーボードの種類と仕組み・違い・特徴の解説
「良いキーボードを検討したい!」という人が、最初に感じる壁は「なんかいろいろ仕組みに違いがあるけど、よくわからん」というところだろう。 「メンブレン式」「パンダグラフ式」「メカニカル式」「静電容量無接
要は〈キーボードとしての使いやすさは、Macのキーボードに劣る〉のだ。もちろん例外はあるだろうが、一般的にはそうだといえる。
携帯性は良い。ケースと一体型になっているれば、持ち運びに手間取らない。カフェのテーブルですぐに仕事を始められるのは素晴らしい体験だ。
しかし、どんなに便利でも、きちんと動作しなければしょうがない。打った分だけストレスが積み重なっていくなんて、使っている意味がないだろう。
それならもう潔く、iPadのデフォルトのキーボードを使ったほうが良い。
iPadだろうと普通のキーボードが良い
「ならばどんなキーボードが良いのだ?」と。答えは「PC用の外部キーボード」だ。ちょっとこだわるなら「メカニカルキーボード」と呼ばれるものが良いだろう。
たとえば私は、FILCOというメーカーの「Majestouch minila air」というメカニカルキーボードを使っている。
10,790円(2020/07/20時点)
メカニカル式キーボードには「配列」と「軸」に注意しよう。「日本語」と「英語」ではキーの配列が違う。軸には「赤・茶・青・黒・ピンク」などがあり、打感や音に違いがある。
実際に使ってみないと〈自分好み〉かどうかがわからないので、ぜひ店頭で試打してもらいたい。
ワイヤレス式のメカニカルキーボードで、打感が気持ちいい。打つたびに鳴る〈スコスコ〉という音が、キーボードを打ちたい欲を駆り立ててくれる。
まぁ、家族からは「ちょっとうるさいんだけど」と言われることもあるが、これだけは止められない。すまない、妻よ。
ワイヤレスキーボードなので、持ち運びにも便利。たしかにタブレット用キーボードと比べれば、折りたためないから嵩ばるし、そりゃあちょっとは重い。
けれどもそれ以上に快適なタイピング体験が待っている。
iPadを使って文字入力をしたいと考えているなら、多少持ち運びが不便だったとしても、携帯性よりもタイピングの快適さを取るべきだと。私はそう思う。
なんにせよ、私が言いたいのは、「タブレット用の便利そうなワイヤレスキーボードは、買ってもいずれ使いにくく感じるようになって、結局タンスの肥やしになるのが関の山なので、そんなものにお金を出すなら、PCでも使えるようなPCよりも使いやすい良いキーボードを買うべきだ」ということだ。
「折りたたみ」「薄型」「スリム」なんてキャッチコピーに騙されてはいけない。それらはすべて「気持ちいいタイピング体験」を犠牲にした結果なのだから。
自分で決められない方へ
では結局どのキーボードが良いのか。個人的にはFILCOの「Majestouch minila air」はおすすめできる。
Bluetooth接続のワイヤレスキーボードだし、メカニカルキーボードでタイピングも快適だ。それでいて価格も1万円強と(メカニカルキーボードにしては)手を出しやすい価格なのが魅力的。
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メカニカル式キーボードには「配列」と「軸」に注意しよう。「日本語」と「英語」ではキーの配列が違う。軸には「赤・茶・青・黒・ピンク」などがあり、打感や音に違いがある。
実際に使ってみないと〈自分好み〉かどうかがわからないので、ぜひ店頭で試打してもらいたい。
あとは、私の周りで人気なのは「HHKB(Happy Hacking Keyboard)」だ。「静電容量無接点方式」と呼ばれるタイプのキーボードで、こちらも多くの人を虜にしている。
理由は、なによりタイピングの心地良さだそうだ。詳しいレビューは以下の記事が参考になるので、気になる人は読んでみるといい。
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キー配列はUS版が良いかもしれない
もしiOSに対応していないキーボードを買うなら、キーボード配列はUS版のほうが良いかもしれない。
私はMacでもJIS版を使っているので、「Majestouch minila air」もJIS版を使っている。Macで使う分にはこれで問題ない。
しかしiOSデバイスの使用は少し変わっていて、JIS版のキーボードであってもUS配列で認識してしまうのだ。なので細かな部分で〈キーボードに印字されている文字〉と〈入力される文字〉で違いがある。
まぁ別に、JIS配列で全く使えないわけではない。ちょっと苦労はあるが、US版のキー配列を覚えて、使い慣れてしまえば問題はない。現に私はJIS配列キーボードを使い続けている。
「JIS配列キーボードでUS配列環境を打つときの対応表」は以下のページが参考になるのでおすすめ。慣れないうちは表と睨めっこしながら使ったものだ。
JISキーボードなのにUS配列の環境で文字を打つ - Qiita
接続しているのはJISキーボードなのにUSキー配列になっている環境に出くわすことがちょくちょくあります。といって環境は勝手に変えられない!今すぐには変えられない!変えるのが面倒だ!そういった時に使える対応表を作ってみました。
あとがき
最近、iPadの第七世代を買って、浮かれ気分でキーボードを試してみたけど、結局どれにも満足できなくて、金をドブに捨てた私。そんな惨劇を繰り返して欲しくなくて、この記事を書いている。
いやホント、タブレット用のキーボードで使いやすいものなんて一つもなかった。「Majestouch minila air」に慣れすぎたってところはあるかもしれないけれど、それにしたってストレスばかりが溜まるようなものだった。
みなさんも、iPadでの文字入力は、ぜひPC用のキーボードをご利用なさいませ。
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メカニカル式キーボードには「配列」と「軸」に注意しよう。「日本語」と「英語」ではキーの配列が違う。軸には「赤・茶・青・黒・ピンク」などがあり、打感や音に違いがある。
実際に使ってみないと〈自分好み〉かどうかがわからないので、ぜひ店頭で試打してもらいたい。
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