格安SIMを選ぶ上で、データの通信速度は気になる所。
聞いた話だと、どうやら格安SIMを提供している通信事業者は「MVNO」と呼ばれていて、ドコモやAUの回線網を間借りして事業を展開しているらしい。
なるほど！設備投資などのコストが必要ないから、格安でサービスを提供できるのか！納得！
じゃあ、ドコモやAUと同じ通信速度を出せるの？本当に？
実は、そうではないのです。
MVNOって何？
まず最初に、MVNOという通信事業者についてご説明します。
MVNOは「Mobile Virtual Network Operator」の略。日本語で「仮想移動体通信事業者」と言います。
彼らは、ドコモやAUなどのような自社の回線網を持ちません。発想は逆で、ドコモやAUなどが持つ回線網の一部を借りて、それを自社ブランドの通信サービスとして展開しています。
設備投資に関するコストが一切かからない。なので彼らは「格安」で通信サービスを提供できるんです。
ちなみに、ドコモやAUなどの自社網を持つ事業者、つまりMVNO事業者に提供する側を「MNO（移動体通信事業者）」と呼びます。
MVNO事業者は大手通信事業者から "一部" を借りる
こうした各MVNO事業者は、大手の通信網を借りている。だから「私たちはドコモさんと同じ通信網なので安心ですよー！広いエリアを網羅してますし、通信速度も出ますよー！」というウリ文句が成立します。
しかし、これが事実かといえば、そういうわけでもない。
通信エリアは確かに同じ
MVNO事業者は大手キャリアのネットワーク回線を借りています。ですので、通信エリアは貸し手側の通信エリアと同じになります。
ドコモと契約しているMVNO事業者はドコモと同じエリアを、AUと契約しているMVNO事業者はAUと同じエリアを網羅します。
通信速度は事業者によって違うよ
しかし、通信速度はそうはいきません。
過去にこんな事がありました。楽天モバイルのウェブサイトに掲載された謳い文句は「つながりやすさ、スピードはドコモと同じ」。しかし記者会見でツッコミが入り、後日「つながるエリアはドコモと同じ！」に変更されたのです。
なぜ通信速度に違いが出るのか。それは、借りている「回線帯域の太さ」と「通信設備」に違いが出るからです。
通信速度を出すためには回線帯域を多くする必要がある
通信速度は、主に「回線帯域の太さ」と「通信設備」に影響されます。
via：MVNOとしての事業をご検討の事業者様へ | 企業情報 | NTTドコモ
一般的に、帯域が太ければアクセスが増加しても速度が低下しにくくなり、通信設備が増えればデータを素早く処理でき混雑しにくくなるといわれています。
MVNO事業者は、回線帯を大手キャリアから借りつつ、自分たちで通信設備を準備します。（※一部、通信設備も借りてしまう業態もあります）
なので、MVNO事業者の通信速度は「回線帯域をどれだけ太く大手キャリアから借りられるか」と「どれだけ多額の資金を通信設備に投資できるか」 によって決まります。
もちろん、多額の資金を費やせば速い回線が実現できます。しかしそれでは「格安」になれない。
なのでMVNO事業者は、費用と速度のバランスを上手く取るように企業努力を続けているのです。
そんなわけで、キャリアと同じスピードは難しい
大手の通信事業者を借りることで事業を展開している「MVNO事業者」。そうなると、やはり貸出元の大手キャリアの方が安定的で、かつスピードも出やすい。
断定的に「必ず」と言えないのは、時間やシチュエーションによって回線の速度には差が出てしまうから。水物なんですよね。道路の混雑状況と同じく、予想がつきにくいのです。
例えば、以下のサイトで紹介されているような速度比較でも、トップのスピードを出し続ける通信事業者はありません。時と場所によって結果は違ってきてしまうのです。
なので、MVNO事業者を選ぶときは、ユーザーからの声・評価はシッカリ聞いてから吟味した方がよさそうですね。
調べれば調べるほど、頭の中がこんがらがってきますね。
でも、今後もやはりSIMフリーのスマートフォンと格安SIMの流れは強まっていくでしょうから、今のうちに少しずつ知識を蓄えておこうと思います。
