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忘れたくないことはEvernoteへ。覚えておきたいことはノートへ。記録と記憶の違いから使い分ける。

Evernoteを活用していると、自分の過去はすべてEvernoteに記録すればいいような錯覚を覚えます。

もちろん、Evernoteは便利だし、私にとってはなくてはならないツールであることは間違いありません。

ですが私は、それでも「手で書く」という行為から離れることはできません。

だからノートを使うし、手帳を使います。これをなくして、全ての過去をEvernoteに詰め込むことは、私にはできないのです。

それは、何故か?どんな線引きをもって使い分けているのか?

今日は、そんなお話。

記録と記憶の大きな違い

き‐ろく【記録】
〘名〙(スル)
将来のために物事を書きしるしておくこと。また、その書いたもの。

き‐おく【記憶】
〘名〙(スル)
過去に体験したことや覚えたことを、忘れずに心にとめておくこと。また、その内容。

これが辞書による解釈です。ここに、大きな、そして決定的な違いがあります。

それは、「記憶とは、心にとめておくこと」だということ。

記録とは、過去のできごとを書き記すこと。つまり、残すことが目的になります。カタチとして残っていれば、それで構いません。

ですが、記憶するのはカタチではありません。むしろカタチがなくて、自分の頭の中や心に残しておくことが目的となります。

では、すべてを記録することで、記憶は必要なくなるのか?実は、そうではないのです。

記憶することの重要性

頭の中にあるということ、カラダに染み込んでいるということ。これらは、生きる上で欠かせないのです。

例えば、失敗体験について。

自分の失敗した経験とは、それを分析して次の失敗を予防することに意味があります。

これを記録していることも、それなりには重要です。過去と同じような境遇に出会ったとき、過去の記録を見返すことで予防はできます。

ですが、その失敗自体を忘れていた場合。もしくは、その失敗の原因や、そこで感じた痛みや後悔を忘れていた場合はどうでしょうか。

これらは、記憶していない状態です。

記憶していなければ、「自分は今、過去の失敗と同じ境遇に立たされている」と認識することはできません。そうすれば、また同じ失敗をくり返してしまうでしょう。

これは、記録していただけでは防げないのです。記憶することで、自分のカラダに覚えさせておかない限りは、また同じ失敗をくり返してしまうでしょう。

学生時代には、定期試験があり、そのために頭に詰めこむ必要がありました。ですが、社会人になってからは試験がなくなり、「必要な情報を必要なときに引き出すことこそ重要だ!」と思い込んでいた節があります。

しかし、実は記憶することが重要で、自分の頭やカラダや心から情報を引き出す、その瞬発力が求められるのが人生です。

アイデアを膨らます。人との会話を楽しむ。これらは記録している情報からではなく、記憶している情報を活かしての活動なのですから。

▼記憶についての重要性は、こちらの記事も大変参考になります。私のお気に入り記事。

アイデアの種は紙に鉛筆で書いたほうが絶対によい|Evernote依存からわかった事*ホームページを作る人のネタ帳

手で書くことは、記憶の延命処理

では、記憶をするためにできることはなにか。それが、手で書くという行為です。

手で書くというのは、記憶の延命処理。手で書いた情報というのは、その内容を若干長く覚えていられます。

若干長く覚えていられ、それに重ねて書くことで、また記憶が延命されていきます。

「覚えていられる」というのとは、少し違いますね。「カラダに染みこんでいく」と言った方が正しいです。

普段は全然気にしていないような内容でも、何かの拍子にパッと思い浮かぶ。カラダから過去の記憶が溢れ出るのです。これが先ほど言った「瞬発力」です。

キーボードで打ち込んだ文字列では、どうしてもカラダには染みこんでいきません。パソコンに打ち込んだノートを毎日見返したとしても、手で書いた内容とは、カラダへの定着度合いが違うのです。

では、ノートに何を書くのか

私はほぼ日手帳カズンを愛用していて、そのデイリーノート欄が自由帳みたいになっています。

そこに何を書くかといえば、他愛もないこと。日々の感情の変化や、自分の失敗、今日やったことなどなど。

なんで決まった内容を書いていないか、というと。それは、「記憶しておくことが必要な情報」というのは、明確に決まっていないからです。

「この情報は、◯月×日に必要になる」とか「これは△△な場合に取りだす情報だ」とか。そんな、使用するタイミングが分かっている情報なんていうのは、記憶するようなものじゃありません。それこそ記録しておいた方がいいです。

いつ・どこで・だれと・なんのタイミングで使うか分からない情報だからこそ、自分のカラダに染み込ませておきたい記憶なのです。

ただ1つだけ、記憶しておきたいモノの条件が、私の中ではあります。

それが、「自分に関すること」。

自分が発信したことと言いますか。

「自分はこう感じた」「自分はこう思った」「今日はコレに頭きた」「今日の自分を褒めてあげたい3つのこと」「思いついたアイデア」「今日やったこと」などなど。

主体が自分である情報です。感情の変化でも、行動でも、感じたことでも。なんでもいいですが、主体が自分にあるものは手帳に書くようにしています。

逆に、「今日のトップニュース」「気になったブログ記事」「天気」なんかは、手帳の余白を埋める程度の重要性しかありません。

もしそういう「外部からの情報」を記したいのであれば、必ず自分の想いや感想を書きます。それであれば、主体が自分にある情報なので。

あとがき

Evernoteが便利すぎて、なんでもかんでもEvernoteで済ませようと躍起になっていた時期があります。意地みたいなもんです。

ですが、手で書くことは、やはり重要なんです。

ちょっと回り道をしましたが、Evernoteに依存した生活を送ったからこそ、今あらためて手書きの大切さを痛感しています。

すこしほこりを被ったノートがあったら、今一度取り出して、今日の日記でも書いてみましょう。

世の中はちょうどゴールデンウィーク。旅行の計画などがあるかたは、このゴールデンウィークだけでも、手書きの旅行記を作ってみてはいかがでしょうか。


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  • この記事を書いた人

ばんか

Webディレクターとしてサラリーマンをやりつつ、個人でブログや執筆活動をするパラレルキャリアを実施中。 ITツールを日常で活かす方法を広く伝え歩くことをミッションとした「ITツールエバンジェリスト」です。AllAboutやYahooクリエイターズプログラムでも活動中。

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