以前お話したとおり、オレンズネロの最大の欠点はカリカリした書き味です。ガイドパイプを伸ばしたことで芯を折らずに書き続けられるのですが、ガイドパイプが紙を擦ってしまい、引っかかる感じが拭えない。
1回のノックで書き続けられるというのは十分に魅力的で、他のシャープペンにはない唯一無二のメリットです。でもそれが書き味とトレードオフであるというのであれば、その魅力は半分以下。正直他のシャープペンの方がストレスなく使えます。
「なんか、高い買い物だったなぁ。。。」
とボヤきつつ、それでも3,000円の価値を見出そうと使い続けて1週間。オレンズシステムの先入観とも盲点とも言うべき発見があったのです。
別に2回ノックして使ってもいいのではないか?
オレンズネロを2回ノックして使っても良い
オレンズネロは通常、1回しかノックしません。2回以上ノックする必要がなく、それゆえに芯が折れないのです。
オレンズネロを2回ノックする。するとガイドパイプから芯が出ます。
これは、いわゆる普通のシャープペンシルです。オレンズシステムのメリットである「芯が折れない」という機能性も享受できず、一般的なシャープペンシルに成り下がる。一見すると呆れるほどの愚行です。
しかしガイドパイプの先に伸びた芯で書けば、ガイドパイプに干渉されなくなります。紙に擦りつける感覚はなくなり、普通にシャープペンで文字を書く感覚。これで良い。これが良かった。
普通のシャープペンと言いつつ、ガイドパイプが長いので、一般的な0.5mmシャープペンよりも強く芯を保護してくれます。なので、0.3mm / 0.2mm の芯といえども、そう簡単に折れることはありません。
ガイドパイプが紙を傷つけてしまうのでは、絵やイラストには不向きと言わざるを得なかったオレンズネロ。これでようやく、絵やイラストを描くにも使える「普通のシャープペン」として成り立ちます。
ゴリゴリ書きたいとき、そうでないとき
いつも繊細にものを書きたいわけじゃありません。アイデアを出したり、メモを殴り書きするときには、0.3mm の華奢は芯は不向き。製図用のシャープペンは普通使いません。
ですがオレンズネロならコレが可能。多少ガイドパイプが引っかかるかもしれませんが、芯が無くなるたびにノックをする必要がなく、紙と向き合い続けられるペンです。
ボールペンのように終わりなく書き続けられるシャープペン。「手を止めない、止める必要がない」ということがどれだけ大事だったかを再認識できるのは、実際に手にした人だけが味わえる新境地かと。
だから私はこう使い分ける。
ゴリゴリ書きたいときは1ノック。
繊細に描きたいときは2ノック。
オレンズネロを2回ノックしても良い理由
オレンズネロの基本的な使い方は「1回ノックして書き続ける」というもの。どこのレビューを見ても、公式サイトのどのページを見ても「2回ノックして良いのか、悪いのか」という点について言及していません。
なのでこれは私の見解ですが、おそらく2回ノックして使い続けたとしても、壊れるものではありません。
まずひとつ目の理由。それはオレンズネロの構造にあります。
オレンズネロは、芯が減るとそれに従ってガイドパイプが上に引っ込んでいきます。そしてペン先を紙から離すとガイドパイプが所定の長さまで戻り、それにしたがって芯が伸びる仕組みになっています。
たとえば、ガイドパイプだけを指先で上に引っ込ませることができます。そして手を離すと、ガイドパイプが元の長さに戻り、戻った分だけ新しく芯が出てきます。
つまり芯がガイドパイプより長い状態であれば、ガイドパイプの動作に干渉しません。芯が長いことは、オレンズネロの根本的なシステムに影響がないと考えられるので、2回ノックすることに問題はないでしょう。
ふたつ目の理由として、3,000円もするシャープペンが普通のシャープペンと同じような使い方をした程度で壊れるわけがありません。日本のぺんてる社の叡智の結晶が、そんなに簡単に壊れて良いわけがありません。
まとめ
というわけでオレンズネロの2回目のレビューでした。3,000円の価値があるかどうかはわかりませんが、今自分が一番気に入っている文房具です。
ただしクセがあるのは間違いありません。ご購入の際はぜひ試し書きを。