今日ちょっと残業で遅くなるから、夕食は外で食べて帰るわ!
このセリフが原因で夫婦喧嘩に発展したことがありますか?私はたびたびあります。
なぜ妻が怒るのかわかりませんでした。
仕事をしてれば急な依頼で残業を強いられることは珍しくありません。もしくは予定していた仕事量をこなせなくて、やむなく残業するとか。上司からの急な誘いで夕食がいらなくなることもあります。
そういう男の都合をわからず、たった一回の夕食をダメにしたことでそんなに怒るとは、なんて理解のない妻なんだ。
そんなことを考えたことがあるなら、それはちょっと違います。考えを改めなければ、きっとこの先も同じケンカを繰り返すことになります。
夕食が無駄になったことを怒っているのではない
自分の妻が怒っている原因を改めて考えたことはあるでしょうか?相手の立場に立ってみると、今まで見えなかった事実に気づかされることがあります。
妻が怒っている理由。せっかく作った夕食が無駄になったことも、もちろん原因のひとつでしょう。
しかしそれ以上に、二人で同じ時間を共存しているという認識の低さが原因である場合も多いです。
簡単にいえば「あなたの都合で振り回されるコッチの身にもなって考えろ!」ってことです。
私はコストばかりを気にしていたけど……
私はいつも無駄になった夕食のコストしか気にかけていませんでした。
捨てるハメになった一人分の夕食と、私の突然の外食費。これが想定外の出費です。しかし稼いでいるのは自分ですし、その分だけ頑張って稼ぐから許してよ……というのが私の言い分。
むしろ残業代分だけプラスになってるんだから家計のためになっただろうと、場合によっては開き直ることさえもありました。
でも本当は妻が失ったものに目を向けるべきだったんです。お金以外の色んな物を失っていることに私は気がつけませんでした。
夕食ひとつとっても、妻はいろいろと考えてくれていました。献立を考え、冷蔵の中身を把握し、逆算して今日の買い物をする。前もって作れるものは午前中に準備して、午後は買い物のタイミングに合わせながら自分の予定を組み立てる——。
「夕食を作るためにどれだけ苦労したかを知れ!」と言いたいのではありません。
妻にとって夕食は重要なイベントであり、それに合わせて自分の予定を組んで動いていて、あなたの残業というイレギュラーがひとつ発生するだけで、自分が予め組んでいたスケジュールに大幅な軌道修正が必要になってしまう。この事実を知っておかなければなりません。
男が自分の都合を押し付けるなら、逆の立場になって妻の都合も理解するべきです。
「イレギュラーな予定は相手に迷惑をかけるから、すべて断りなさい」と言っているわけでもありません。
あなたのイレギュラーに影響されるのはあなただけではなく、パートナーとも深く関係している。この事実を理解しなければいけないということです。その事実を理解しているだけで、「夕食がいらなくなった」という同じ事実を伝えるにも、選ぶ言葉が変わってくるはずです。
同じことが原因で起こりえるケンカの派生系
同じような理由でケンカに発展するケースは数々あります。
例えば「明日の夜は飲み会だから帰り遅くなる。夕食いらないから」という連絡を前日に入れる。そういう予定が先にわかっていれば、妻だって誰か友だちを誘って夕食に出かけられたかもしれません。
しかしそれを前日に言われてしまっては、なかなか自由に動きづらい。友人との予定を合わせづらい。結局は家の中で一人の夕食を食べるしかなくなってしまう。夫は楽しそうな飲み会に行っているのに——。
例えば金曜の夜に「日曜はゴルフ行ってくるから。お前も久しぶりに自分だけの自由な時間に使ってよ」なんて。
優しさのつもりで言っているのかもしれませんが、これも逆効果。そんなことを急に言われても自分の予定は組めません。友人を誘うにしても急すぎてつかまらない。
もしかしたら溜まった家事を夫がいる日曜にまとめてやろうと考えていたのかもしれません。「自由に時間を使っていい」なんて言われても、家のことを投げ出してまで自由には動けません。結局は自由になんて動けないんです。
一人暮らしでは気づけなかった共同生活の難しさ
私は社会人になってすぐに一人暮らしを始めました。その時は本当に、自分の都合ばかり考えていればよかったんです。
夕食をどこで食べようか、週末をどうやって過ごそうか。その瞬間の自分の気分に身を任せて決めればよくて、他人の予定を考える必要は全くありません。
ですが共同生活となると話は全く違います。
自分の予定は自分だけのものではなく、パートナーの予定の中にも組み込まれています。自分の予定が変われば、パートナーの予定にも大きな影響があります。
この当たり前に聞こえる事実に気がつくまでに、私は本当に長い時間を要しました。頭ではわかっていたのですが、ちゃんと理解していなかったんです。「私の都合で妻を振り回す」ということが多々あり、迷惑をかけ続けていました。
逆に妻はキチンとしていて、私は「振り回された」と感じたことはありません。先々の予定をあらかじめ共有したり、「こうしたいと思っている」という未決の予定も言葉にするので、私は妻の動きや考えがわかりやすかったんです。
結局はコミュニケーションなんですよね。とても小さな気配りさえあれば、いざこざなんてそんな頻繁になんて起こりません。
時間をすれ違い対策にオススメな3つの方法
では最後にパートナーと共同生活をする上で私が大切だと思っている3つのことをご紹介します。
予定を共有する
まずは予定表を共有すること。自分だけが把握する予定表とは別に、パートナーと共有する予定表を持っておくと良いです。
アナログのカレンダーでもいいです。壁に貼り付けるタイプのカレンダーを家に置き、お互いの予定を書き込む形で全然OK。
iPhoneのアプリを利用する方法もいいですね。「TimeTree」というアプリが非常に使いやすくてオススメ。
このアプリに入れた予定はパートナーと共有され、二人で同じスケジュール表を見ることになります。新規の予定を追加したときに、共有している相手の方にも通知が届くのも嬉しいところ。
ITリテラシーが高い夫婦であれば、Googleカレンダーの共有機能を使うのもいいですね。
未決の予定を伝える
ふたつ目に、未決の予定を軽く伝えることが意外と大切です。いきなりストレートをぶちかますのではなく、日々小さなジャブをいれていくんです。
これは私が一番苦手とする所。決まってもいない予定を話したりするのは非常にキラいなんですが、妻に言わせれば、そういう小さな「こうするかも」がわかっているだけでも動きやすいんだとのこと。
今は妻に「そういえばあの予定どうなった?」「来週末ってなんか予定ある?なんかするつもり?」と、逆にジャブを入れてもらっている状況。これを私から発信していかなければなぁと反省中です。
イレギュラーはなるべく早めに共有
イレギュラーな予定が相手に迷惑をかけるとわかってしまうと、そのイレギュラーを相手に伝えづらくなってしまいます。申し訳ないと思うからこそ、なかなか言い出せない。
しかし都合の悪いことこそ早めの対処が大切。時間が経てば経つほど、パートナーにかける負担も大きくなってしまいます。
「夕食がいらない」とわかったのが午前中なら、その日の買い物をキャンセルするなど対処ができます。しかしその事実を夕方に伝えられてしまったら、後の祭りというやつです。