普段は電子機器から離れる瞬間なんて僅かにもない。仕事もプライベートも、どっぷりと電子デバイスに埋もれている。
便利なデバイスを使っては、日々「どうしたら時間を節約できるか」を考えることに時間を費やしている。きっと、節約できた時間以上に考えているんだろうなぁ。
そんな生活が嫌いではないけれど、たまには両手を空にして、裸一貫、汗を流しながら時間に揺られるのも有意義なもんだと思うものである。
カバンは持たず、一つの事だけ頭に閉まって、タオル一丁湯船に浸かるのである。
思考に集中できる快適空間
緩やかに過ごせる場所として、温泉は非常にオススメである。
多くの人がいるとは言え、皆が他人同士。個々人が孤立していて、半径50cm以内には近づかない暗黙の了解がなされている。
そこは、ソーシャルな場でありつつもプライベートな空間という、なんとも不思議なスペースなのだ。
岩盤浴なら無理せず長考できる
そんな中でも、私は特に岩盤浴をオススメしたい。
湯船に長いこと浸かっていられない人もいるだろう。私もその一人だ。自分自身、すぐに茹だってしまって、考えを熟させる前に上がってしまう。
なので私は、大型の温泉施設に行っても、早々にサウナに逃げ込んでしまうことも珍しくない。ただ、サウナはサウナで、長いこと居座るには過酷な環境である。
その点岩盤浴は良い。
適度な温度で、身体の内側からゆっくりと温めてくれる。マットを敷いて寝そべることで、身体全体からじっくりと温めてくれるので、非常に長い時間をかけて、良い汗をかかせてくれる。
長い時間居座ることに苦がなく、むしろ長い時間をかけて居座ることで、快楽や快感を得ることができる。正に、"考える" という行為にはうってつけの環境だ。
身体にベッタリと張り付いたiPhoneを身を剥がし、血行と一緒に考えを巡らせる。たまにはこうした機会を能動的に作ることも、非常に有意義な時間の使い方である。
何も、手を動かすことだけが「効果的な時間の使い方」ではない。
持っていく物は一つだけ
こうした環境で考えを巡らせるときに、何も用意せずに、行き当たりばったりで考えを巡らせることは、あまりオススメできない。あっちこっちに思考が飛び散ってしまうのだ。
なんでだろうなぁ。ある1つの事に対して考えを巡らせていたはずなのに、5分も経てば別の事を考えている。私の集中力が足りないせいもあるかもしれないが、それはきっと私だけではないだろう。
なので私は、あれやこれやと考えることはしない。何か1つのテーマを決めて、それに対してのみ思いを馳せるようにしている。
そうすれば、脱線している自分の思考にも気がつける。"考えているふり" をしている自分に早く気がつけ、元の路線に思考を戻すことが簡単なのだ。
なので私は、風呂場に一つしか持っていかない。詰め込みすぎず、テーマは1つに絞って持っていくようにしているのだ。
"考える" という行為に対して、その環境づくりは非常に大切だ。
そして、iPhoneやMacなどの電子デバイスを強制的に身体から引き剥がせる「風呂場」という環境は、思いを巡らせるには非常に良い環境だと私は思う。
あとがき
今回、生まれて初めて「岩盤浴」というものを体験して、「これはなるほど良いものだ!」等とオッサンのような感想を持ったのだが、その理由の1つは「考えを巡らせられるプライベートな空間」を手に入れられた喜びに他ならない。
「考える」ことが苦手な人は、是非とも近くの岩盤浴場に足を運んみてはいかがだろうか。