小さな娘を持つ親としては、街中で大変そうにしている父親・母親を見ると、やっぱり手助けしたくなるんです。それはきっと、僕が街中で困っているときに手を貸してくれたあの人へ、せめてもの恩返しなのかもしれません。
しかしこの「手を貸す」という行為も、一歩間違えると「ありがた迷惑」になってしまうかもしれないし、場合によっては「怖い思い」をさせてしまうかもしれません。
ですので僕は、この3つの点だけは気をつけるようにしているんです。
第一印象を大切に
我が子を守る母親は強いもので、きっと無意識的な防衛本能があります。危険が迫れば、まずは自分の子どもを最優先で守ろうとするでしょう。
見ず知らずの、しかも男が急に声をかけてきたら、きっと身構えるでしょう。昨今の世の中ですし、それがたぶん自然な反応です。何かあってからでは遅いのですから。
だから僕は、精一杯「自分は純粋な気持ちで、あなたのお手伝いをしたいのです」という姿勢を伝えなければならないんです。
自然な笑顔
その第一歩が「笑顔」でしょう。100%の笑顔ではなく、あくまで「自然な笑顔」が大切です。
満面の笑みを浮かべた男が近寄ってきたら、それはそれでメチャクチャ怖くないですか?余計に不安感が増しますよ。
なので、無愛想にならない程度に、自然な笑顔を心がけています。
発声も大切
最初に掛ける声のトーンも、明るめに、ハッキリと。せっかく声をかけたのに、恥ずかしさでドモってしまったりしたら「なんだこいつ」って思われてしまいます。なので、堂々と、ハッキリと、相手に伝わるように声をかけます。
清潔感のある格好
あとは普段から、清潔感のある格好をするように心がけています。
別にオシャレじゃなくていいし、目を引くようなファッションセンスが必要なわけでもありません。
「この人は怪しくないな」「この人なら話しても大丈夫だな」って思ってもらえる程度には、ちゃんとした身なりをしておくべきです。
手伝ったほうが良いのかどうか聞く
冒頭お話ししたとおり、場合によっては「ありがた迷惑」ってことも考えられます。なので目的を履き違えないように気をつけています。
あくまで「相手が困っているなら手を貸したい」だけであって、困っていないなら手を貸す必要はないわけです。「良い人を演出したい」わけではないので、そこを勘違いしないようにしなくちゃいけません。
したがって、第一声で必ず「お手伝いしましょうか?」という一声をかけます。
たとえばベビーカーを持って階段を登ろうとしている人がいたとして、間違ってもいきなりベビーカーに手をかけてはいけません。そんなん、相手からしたらメッチャ怖いでしょう。
まず「すみません。大変そうですが、お手伝いしましょうか?」と声を掛ける。そしてOKが出てから初めてベビーカーの足を持つんです。
もしそこで「大丈夫ですよ!ありがとうございます」という感じだったら、潔く引き下がります。粘っても迷惑になるだけです。
しかし、ただ遠慮をしている場合もありますよね。その判断が非常に難しいのですが、そういった場合は、相手の表情や声の感じヒントにします。
もし相手が遠慮しているようだったら、次のように話をするようにしています。
自分も親であることを伝える
「自分にも小さい娘がいまして、大変だろうなと思ったので……」とひと声かけてます。最初に伝えられなかったとしても、手伝っている途中の雑談の中で必ず挟むようにしています。
どうしたら親近感を持ってもらいつつ、不安感を取り除けるだろうか。考えた末に思いついたのが「自分も親なんですよ」と伝えることでした。同じ立場であることを示せば、ちょっとは安心してくれるかな、と思ったのです。
それともう一つの理由。「なんでこの人は手を貸してくれようとしているんだろう?」という漠然とした疑問に答えることで、疑念が解消され、不安感がなくなるのではと考えたんです。
遠慮していた人でも、ここまで話をすると「じゃあお願いしようかな」と思ってもらえたりするので、スムーズに事が運ぶことが多いです。
実際のところ、話しかけられた側がどう感じたかわかりません。アンケートを取ったわけでもありませんし。ですが、やらないよりはやったほうが良いと思っているので、「自分も同じ立場で困ったことがあります」という意図を暗に匂わせるようにしています。
執筆後記
まぁもちろん空振りすることもあるわけです。変な目で見られることもありましたし、煙たがられることだってありました。
でも後になって「あー声かけておけばよかったかなぁ。あの人だいじょうぶだったかなぁ」って後悔したくないので、積極的に声をかけるようにしています。
物騒な世の中でもありますからね。たとえ善意だったとしても、声をかけるときは慎重に!