よく「ゲームなんて時間泥棒!人生の無駄でしか無い」といった意見があるようだが、まったくもってその通りである。そんな正論は聞き飽きた。
ゲームなんて娯楽なわけで、そこに光明を見出すのは間違っている。しかし受け取り方次第では、人生や仕事で役立つような学びが得られることもある。
私はPUBGを通して色んなことを学んだ——ような気がする。
もしかしたらPUBGで遊ぶことの後ろめたさを拭いたいだけかもしれないが、しかしPUBGをプレイすることに、どこか人生の縮図を感じるときがあるのも、紛れもない事実なのだ。
1.結局あいさつって大事
PUBGでは4人で1チームを組み、他の24のチームと対戦をする。したがって、チーム内での連携がとても重要になる。
リアルな友達とチームを組むこともできるが、私は基本的に野良、つまり前世界中の人の中からランダムで選出された3人と組むことになる。
見ず知らずの人間と即席でチームを組んだとき、一番大切なのは「最初のあいさつ」だ。
「よろしくお願いします!」の一言があるかないかで、その後の「一緒に勝とう」「助け合おう」という気持ちが0にも100にもなる。
そして、あいさつができないやつほど、ワンマンでプレーをして、ひとりで勝手に倒されていくのである。
戦う相手もチームだ。こちらもチームで戦わなければ、勝てるはずもないのだ。
2.怖がってちゃダメ!自ら攻める姿勢が重要
相手との打ち合いはかなり緊張しますが、敵にやられることを恐れて自分から動かないのは、愚策と言っても過言ではない。
「相手の出方を待ちたい」「倒されたくない」「ひたすら隠れて、相手の隙を突くのだ」
そう考えたくなる気持ちはわかるが、こうした場合、大抵は打ち負けてしまう。
後手に回った時点で、主導権を相手に握らせてしまっているのだ。
勝つためには勇気を出して、自分から一歩を踏み出さなくてはならない。勝利は、自らアクションを起こした者にのみ与えられる。
3.限られた手札で工夫するところに愉しみがある
戦うために必要な武器や道具は、各ラウンドで完全にランダム。毎回毎回手に入る武器や防具のバリエーションは違うため、必ずしも毎回ベストな状態になれるわけではない。
ときには使い慣れていない武器を使わなければならなかったり、限られた球数で戦わなければならないこともあるだろう。
しかしそれが人生というものの醍醐味だ。
手にしている限られた手札を使い、どうやって局面を乗り切るか。これを考えることこそ、人生の楽しみというものだ。
4.準備し過ぎると機を逃す
武器や防具を夢中になって集めても、あっさり負けることがある。いやむしろ、物資を揃えることに時間を掛けすぎると、だいたいのケースで良い結果に恵まれない。
これは不思議なことなのだが、限られた物資で、ギリギリのところを四苦八苦しながら生きながらえるほうが、結果的に勝利に近づけたりする。
機を逃してはいけない。機が熟した瞬間を見逃してはいけない。
「チャンス」とは、「自分の準備が整った瞬間」ではない。一瞬一瞬が選択の連続である人生という名のゲームでは、好機を嗅ぎ分ける嗅覚と、その瞬間に足を踏み出せる瞬発力が大切になるのだ。
5.勝ち残れるスキルを磨く
銃での打ち合いがメインになるPUBGにおいては、銃の照準を相手に合わせるスピード、いわゆる「エイム力」が強い人ほど、勝利に近づける。
これは間違いのない事実だが、「エイム力」さえ鍛えれば勝ち残れるかといえば、決してそうではない。
どんなにエイム力があっても、背後から先手を取られてしまっては打ち勝てない。あるいは、複数人の敵と同時に出会ってしまっては、生き残ることは叶わない。
自分に得意な能力を磨くことが、勝利への第一歩。
エイム力が足りないのであれば、索敵能力や、相手の心理を読み取ることに注力しても良い。あるいはチームとの連携・コミュニケーション能力を磨くのも良いだろう。
真正面からのぶつかり合い、単純な個々の能力でばかり勝負してはいけない。
どうやったら自分の土台で戦えるかを考え、自分の得意なシチュエーションをどうやったら作り出せるか。これこそ、個々のスキルよりも重要な能力なのである。
6.イライラしても良いことなんか一つもない
どんなに頑張っても勝てないときは勝てない。そんなときもある。ゲームが始まって3分も経たずにやられてしまうことが、3回も5回も続くことだってある。
あるいはチームのワンマンプレーによって負ける。ときにはチームメンバーの裏切りにあう。そんなことだってある。
自分の思い通りにならない事態・状況なんていくらでもあるが、それに対して毎回イライラを募らせても、良いことなんて何一つないのだ。
自分の力でどうにもならないことはある。
そういうときに考えるべきは、「自分の力でどうにかできることはなんだろうか」と考えることだ。
7.離れている時間を作ると愛情が増す
負けが続けば嫌になる。「こんなクソゲー二度とやるものか!」そう思ったことも何度もあった。
そういうときは、潔く離れてみると良い。時間が経って、恋しくなったらまたやればいいし、惹かれなければやらなければいい。
好きだったものが嫌いになることもあるし、再び好きになることだってある。人の心はそれだけ移ろうのだ。
好きだから続けなくちゃいけない。そう思い込むと、好きだったものがどんどん嫌いになり、自分に嘘をつき続けることになる。
自分の気持ちに正直になろう。「嫌いなとき」があってもいいじゃない。
8.人生は素晴らしい出会いに満ちている
私が野良でチームを組むのが好きなのは、そこに「素晴らしい偶然の出会い」があるからだ。
チームを組む人は全国・全世界から選ばれた、完全にランダムな人たち。そうするとたまに、ヘンテコで不思議な人と一緒になったり、めちゃくちゃに面白い人にあったりする。
夜中なのにテンションが高すぎて、笑いを堪えるのが必死になるぐらいの人に会ったこともある。
この出会いは一期一会。試合が終われば二度と会うこともない人ばかり。そういう「偶然の出会い」を楽しめる人ほど、人生は面白くなるのだろう。少なくとも私はそう思っている。
9.上手い人ではなく、楽しんだものが勝者
このゲームの目的は、他のプレイヤーを打ち負かして、最後の人になって勝利を掴み取ることである。「勝利者」になる方法は、それ以外にない。
しかし「勝者」になる方法は意外と簡単だ。このゲームを楽しめばいい。
勝った負けたで一喜一憂するのも、仲間と一緒になって勝利を目指すことも、その過程こそが楽しい。
結果ばかりを追い求めるのではなく、その過程を「楽しめる」人こそ、本当のPUBGの「勝者」だといえるだろう。
人生も、結果ばかりを追い求めると、ときに自分を見失うことがある。
私は過程が好きだ。苦しいとき、楽しいとき、悲しいとき、笑えるとき——。そのすべてが「人生の一部」として楽しめたら最高だなと、私は考えている。
10.ゲームは時間泥棒
最後に、ゲームばかりやってはいけない。ゲームは時間泥棒だ。
ゲームは娯楽であって、あなたの人生の中になるほんの一部分でなければならない。
ゲームは遊ぶものであって、主導権はあなたが持たなければならない。ゲームにもて遊ばれるようになってはならない。
ゲームが生活の中心になってしまうようなら、それはゲームとの付き合い方を変えなければならない頃合いだろう。