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出張買取「買いクル」に聞いた!誰も知らない買取事業の裏側と熱い想い

買いクル」は無店舗型のリサイクルショップ。いわゆる「出張買取サービス」です。
依頼されたお宅まで訪問し、指定された品物を査定。早ければその場で現金による買い取りをしてくれます。

幅広い買取品目が特徴で、使用途中のものや壊れてしまっているもの、一部が欠損しているものなど、普通は処分するしかないようなものでも査定対象として評価してくれます。

2018年のサービス開始以降、ぐんぐんと成長をつづけており、「カンブリア宮殿」「ガイアの夜明け」といったさまざまなメディアで取り上げられている、話題性の高いサービスです。

そしてこの度、そんな「買いクル」について、直接インタビューをさせていただく機会をいただきました!

私自身、こういった「買い取りサービス」というビジネス自体の知識・経験が乏しかったこともあり、お話しいただいた内容は驚きと発見ばかり!

そして、単なるビジネスとしてではなく、その中にある想いについても触れることができ、貴重な体験となりました。

今回のこの記事では、そんなインタビューを通して私が感じた驚きと学び、そして「買いクル」というサービス自体の魅力について、お伝えできればと思います。

「高価買取」を目的とするとミスマッチ

「『商品をなるべく高く買い取ってもらいたい』という目的の場合、それはミスマッチになる。自身でメルカリに出品したほうが高値で売れるし、宝石や時計なども、それを専門にしている店に比べたら査定額は安くなりがち」

と、飾らず、見栄も張らず、本音で話してくださいました。

私ら「依頼する側」も、なんとなくそうだろうと思っていたことではありますが、「買い取る側」から正直に断言いただけるのは、本当にありがたいことです。

では、どういう目的や場面で「買いクル」を利用したらいいか。

「買いクル」のブランディングとサービスモデルは「他者が買わないものや、自分で売ってもいつお金になるか分からないものを、即座にお金に変えられる」という点にあります。

たとえば引っ越しに伴う荷物の整理。手元にあるさまざまな品物を、すばやく、手間を掛けずに、処分をしたい。そういうシーンは最適です。

売却益を出すためにメルカリに出品するのは、手間も面倒もかかります。また、いつ売却が決まるかもわからないので、スケジュールも立てられません。

「買いクル」であれば、基本的にはどんなものでも査定してくれます。

したがって「不用品を処分し、少しでもお金に変えたい」「手間なく、まとめて片付けたい」というニーズがある場合に、その利便性や問題解決能力において高い価値を感じられるでしょう。

一方、一点一点の品物に対して高い売却値を追求する場合には、フリマアプリなどの利用を検討することが推奨されます。

「不用品」の中にある「隠れた資産」

「不用品を処分できるなら満足」とは思いながら、買取サービスを利用するわけですから、ちょっとしたお小遣い程度は手に入るんじゃないか。そんな期待を持ってしまいますよね。

そういう意味でも「買いクル」は非常に適しています。

というのも、こちらが「こんなもの、なんの役にも立たないよ」と思うようなものに対しても、「買いクル」から見ると価値を感じるものが隠れているからです。

過去に「こんなものまで?!」とお客さんに驚かれた買取品目の一例として、以下のようなケースを紹介してくださいました。

ブランド紙袋

ルイ・ヴィトンなどのブランド紙袋は1枚10円〜25円で買い取られます。

再利用して梱包材として使われたり、海外でも需要があるとのこと。

壊れたガラケーや電源の入らない古いノートパソコン

Windows 98のような古いPCでも買取可能です。内部のレアメタルや、レトロ品としての需要があるためです。

古いiPhone: iPhone 3Gなどでも買い取り可能で、iPhone 4/4Sはレトロなカメラの画質が若者に人気でバズりました。

初代iPhone SEのように特定のサイズ感を好むユーザーもいます。

電卓、ラジカセ、コンポ、MD

古いカシオの電卓、ラジカセ、コンポ、MDなども買取対象。

壊れた昭和家電

サンヨーの駄菓子屋のアイスクリーム重機など、レトロ家電は高値で買い取られることがある。

充電ケーブル、片耳だけのイヤホン

ライトニングケーブルやUSBケーブルは1本200円〜250円程度で買い取ってくれるそう。片耳しかないイヤホンも買取可能です。

使用済み化粧品・開栓済みのお酒

残量3割以上の口紅や香水、開栓済みのウイスキーなども買取対象となることがあります。

特に山崎などのウイスキーは高額になるケースもあるとのこと。

ベッドのマットレスやスプリング

ベッド自体は買取が難しい場合が多いですが、マットレスや中のスプリングは素材として価値があり、値段がつくそうです。

買い取ったものをどうしているのか?

さて、上記のようなものたちは、一見するとなんの役にも立ちそうにありません。こうしたものを集めて、どうやってビジネスとして利益を出しているのでしょうか。

そんな疑問についても、いろいろなエピソードを話してくださいました。

国内向け販売

まずひとつは、国内向けに再販するルート。

商品価値が高いものは、Yahoo!オークションやメルカリなどの大手フリマサイトで再販をしているとのことです。

たとえば以下のリンクなどが、これに該当しますね。買い取った商品をキレイにしてリセールしています。

そしてこのとき、大量に、そしてさまざまなルートから買い取ることの利点が発揮されます。「組み合わせ」です。

たとえばブランドの紙袋。現物のみを買い取ったとき、別で買い取っていたブランドの袋と組み合わせることで、市場価値を高められるといいます。

片耳しかないイヤホン。そのときは片方だけしか手に入らなかったとしても、別の依頼で反対側のイヤホンだけが出てくる可能性があります。

そうなれば、両方を合わせて再販することができ、市場価値を損なわずに済みます。

私たちのような個人ではできないことも、企業単位の大きな規模であれば実現できる販売方法もあるんですね。

海外への販路

日本国内で売れにくいものや、価値が低いとみなされる中古品でも、東南アジアなどの海外へ輸出し、再販できる独自の販路を持っているといいます。

カンボジア、マレーシア、アフリカ、タイ、ミャンマーなどが主な輸出先。東南アジアでは日本の製品は「丈夫で長持ち」と評価されており、アニメキャラクターグッズなども人気とのこと。

衣類や家具などはひとつひとつを単品で販売するわけではなく、コンテナ単位でまとめられ、混載便として送ります。

このため、個々の商品の値段が直接利益になるのではなく、物量を集めること自体が重要なビジネスモデルとなっているとのことでした。

その他にもさまざまな販路を持っている

大切なのは「販路」。買い取ったもので利益を出せる当てがあるから買い取る。当然と言えば当然の理屈ですね。

型落ちしたガラケーやスマートフォンを買い取るのも、中に含まれているレアメタルに価値があるためですが、それを販売できる「販路」が確保されているから買い取るわけです。

断線して使い物にならなくなったケーブルを買い取るのも、中の銅線を一定量まとめて集められれば、それを買い取ってもらえる保証があるためです。

こういう「販路」を持てること自体が、企業として活動する意義であり利点なんですね。

なにに価値を感じるかは「買いクル」次第

こういう話を聞いて、私がつねづね抱えていたひとつの疑問が解消されました。

「品物の買い取り価格の相場があるんじゃないの?」「であれば、どの業者に依頼しても、基本的には同じなんじゃないの?」と。

でも実は、そういう「買取価格の相場」みたいなのはなくて、結局は「買いクル」がどういう点に価値を感じて、それに値段をつけるかによるのだそうです。

たとえばMacBookの箱。これも「買いクル」では、そこそこいい値段で買い取ってくれるそうです。

ですがそれは、「買いクル」が、別々に仕入れた「本体」と「箱」を組み合わせて販売できるから。だから「買いクル」は「買い取るほどの価値がある」と判断できるんです。

なので業者によって買取価格に差が出るのは当然であり、依頼者としてそこに「利益や儲け」を追求するのは、あまり意味がないといえるでしょう。

利益を求めるなら、手間と時間をかけて、自分で販売したほうが間違いないわけですしね。

買い取れないものだってある

「どんなものでも無料 “査定” 」と謳っていますが、何でもかんでも買い取ります!というわけではないそうです。

たとえば以下のようなものたちは、再販や取り扱いも難しいので、買い取りをお断りするケースもあるんだそう。

ヘビースモーカーな方の品物

タバコの匂いが染みつき再販ができないため。海外輸出も不可。

カビが生えた家具

湿気の多い日本の特性上発生しやすく、輸出ができないため。

液晶が割れたテレビ

修理費用が高く、需要がないため。

有機ELテレビ

寿命が決まっているため、使用回数が不明な中古品は再販が困難。

それでも目指すのは「ムダゼロ」な世界

利益追求は企業が存続するために必要な活動ですが、「買いクル」にはそれ以上に、果たすべき社会への貢献があるとお話しくださいました。

「買いクル」は、単なるリサイクル業者に留まらず、社会課題の解決と持続可能な社会の実現に貢献することを目指しているとのこと。

「人や環境に感謝されるビジネスモデル」を目指し、買い取れなかった品物を貧しい国の農村などで無料配布する活動も行っています。

そういう熱い想いがあるから、「1,000円買取BOX」なんて発想も出てくるし、それを現実に運用できる仕組みを作れるのでしょうね。

ちなみに「1,000円買取BOX」は、「この箱の中に物を詰め込んでもらえたら、中身がなんであれ、1,000円で買い取りますよ」という企画。

使いかけの鉛筆から、片方しかない靴下まで。壊れて動かない時計はもちろん、何が録音されていたかも忘れてしまったカセットテープなどなど。

その箱にさえ入れれば、どんなガラクタであっても1,000円で買い取ってもらえます。

そうやって集めたものを、適材適所に再分配する。そこに社会や環境への貢献があるのだとのことです。

正直にお話しすると、いままで「買取業者」というものに対してあまりポジティブな印象を持ってはいませんでした。ネガティブというわけでもありませんが、つまり、特別な感情をもったことがなかった。

けれど今回、「買いクル」の内側にある想いを知ることで、「物の最期を託して、見届ける」ことの大切さを学びました。

もしあなたの身近に、ゴミとして捨てようとまとめているものがあるのであれば、そのモノの最期を「買いクル」に託してみてはいかがでしょうか。

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  • この記事を書いた人

ばんか

Webディレクターとしてサラリーマンをやりつつ、個人でブログや執筆活動をするパラレルキャリアを実施中。 ITツールを日常で活かす方法を広く伝え歩くことをミッションとした「ITツールエバンジェリスト」です。AllAboutやYahooクリエイターズプログラムでも活動中。

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