今でこそウェブディレクターとしてサラリーマンしつつブロガーとしても活動を続けていますが、新卒で始めた最初の仕事は輸入商社の営業でした。
そこで学んだことは今でも心に深く根付いています。営業としてのイロハではなく「社会人とは最低限こうあるべきだ」という意味で、今でも自分の行動指針になっているものがあります。
今日はそんな、前職の上司が私に残してくれた言葉たちを紹介します。サラリーマンとしての生き方の、ちょっとした糧になれば幸いです。
財布には「年齢 × 千円」の現金は持ち歩け!
クレジットカードやおサイフケータイなど、時代は現金を持たない方向に進んでいきます。私の娘はきっと「切符を買う」という行為を知らずに育つのでしょう。
しかし現金が必要になるときは必ずきます。しかもそのときは急に来るのです。
例えば「タクシーを使わなければならなくなった」「クライアントとランチに行くことになった」などなど。Suicaの残金がなくなるということもあるでしょう。特にタクシー代は部下である私が払うのが普通でしたので、財布の中の残金にはいつも気を配っていました。
「財布には必ず現金を忍ばせておくように!」
イレギュラーな状況でも落ち着いて対応できるよう、口を酸っぱく言われていました。
目安は「年齢 × 千円」。23歳なら2万3千円を持ち歩くように言われていました。
先方訪問は15分前到着で予定を組め!
クライアントへの訪問スケジュールを組むとき、15分前には到着できるように電車の経路を調べろと言われていました。
電車の遅延などによって止む終えなく約束の時間に遅れることもあります。もちろん遅刻の理由を告げればクライアントも納得するでしょう。
しかしもう少し早く出れば、遅れずに済んだかもしれません。遅れた事実を許してもらうよりも、そもそも時間に遅れないための努力をするべきだと教わりました。
先を読める力は社会人にとって大切なのです。
いきなり仕事の話を始めるヤツがあるか!
打ち合わせが始まって、いきなり仕事の本題を切り出す。そういう仕事のスタイルもあるようですが、私はそのような教育を受けませんでした。
仕事場が関西だったからかもしれません。雑談という名のコミュニケーションが大切だと教わりました。
仕事である前に、人と人とのコミュニケーションです。一緒に仕事をしたいと思えるだけの関係づくりが大切だというのです。
それからというもの、打ち合わせの最初と最後は必ず世間話をするようにしています。仕事の本題はなるべく手短に、要点をまとめて。
仕事の話ばっかりじゃ、つまらないでしょ!
回りくどい!何が言いたいの?
上司への報告は大切。連絡や相談も重要。しかし私の悪い癖で、話が回りくどくてよく怒られていました。
なので人と話をするときは、以下の点を先に伝えるようにしています。
・これからこういう話をします
・こういう結論を求めています
・これが決まればゴールです
世間話であれば、オチは一番最後です。そのほうが面白いですからね。
しかし仕事において先が見えない話ほどイライラするものはありません。「俺は何を聞かされているんだろう」と、はてなマークを抱えながら話を聞かなければならないのです。
話は、着地点を明確にしてからするべきなのです。
社内の営業も大切!仕事がしやすい環境は自分で作れ
クライアントにだけ良い顔をすればいいのではありません。社内営業というのも、社会人として重要なスキルです。
その上司は社内営業に長けた人でした。社内でのコミュニケーションが非常に上手くて、だからこそ仕事をうまくこなせていたのです。
この考え方は今でも大切にしています。一人で仕事はできませんから。
気は使うものじゃなくて配るもの
社内で過ごしやすい環境をつくるために必要なもの。それは気配りだと言っていました。
気遣いではなりません。気遣いは、気を遣われた相手に負い目を与えてしまいます。申し訳ない気持ちを与えてしまうのです。
気配りは、すべての人が気持ちよくなる行為。誰にもアピールせず、誰にも主張せず。非常に優しい行為なのだそうです。
自然な優しさがド下手な私ですが、いつかはそんなスマートな人間になりたいと思っています。
その2万円は自分の財布から出しても軽いのか
会社のお金で仕事をしているという認識が薄れたとき、この言葉をいつも思い出しています。
数百万円の見積りを作ったり、何かの損失が出たとき。金額が大きくなればなるほど、数万円が小さく感じてしまいます。しかも自分の懐が傷まないとなると、金額に対しての意識が雑になりがち。
しかしその2万円が自分の財布から出ると思うと、途端に金額の重さを実感できます。
たかが2万。されど2万。2万円を手に入れるための労力を実感できると、お金への関わり方が変わります。
エロいやつほど仕事ができる!
なんの根拠があるのか未だに不明ですが、妙に説得力のある言葉でした。
私の解釈はふたつ。
ひとつ。エロとは男として根源的な活力になるものであり、エネルギーの源であり、すべての行動におけるモチベーションにもなり得るものである説。
いわば丹田から湧き上がる力の源であり、これをうちに秘めた人は、何事においてもエネルギッシュに全力で取り組める力を持っている、と。
あるチャラ男の名言にも似た一節があり、やはりコチラにも不思議な力がありますからね。
ジム通いを続けるモチベーションは女にモテたいってのがベスト。
仕事だって同じでいい。
いくらかっこつけたって男はモテる為ってのが一番力を発揮する。
ふたつ目の解釈は経験値の差。20代の頃にどれだけ多くの経験をして、自分の世界を広げられるかで、人としての魅力に差が出てきます。
好きだ嫌いだと頭ごなし判断するのではなく、なにごともまずは経験してみる。自分のものとしてみる。そういうところに、男としての深みがでる。そう言っているようにも感じました。
もしかしたらそこまで深い意味を持って話したわけではないかもしれませんが、私の心には妙に残り続ける言葉だったんですよね。
執筆後記
他にもいろんな経験をさせてもらった上司でした。
普段はパリっとしていて、隙がなく、そこに多少の怖さを感じていたのが正直なところ。しかし素直で謙虚で、iPhoneなどの電子機器でわからないことがあれば年下の私に対しても真っ直ぐに接してくださる。
仕事や人生に向ける姿勢が魅力的で、本当に尊敬している方でした。
教えていただいたこと。経験させてもらったこと。それらは今後の人生において、末永く私の行動指針となりそうです。