UX(ユーザーエクスペリエンス)という言葉をご存知でしょうか。
これは、ある製品やサービスを使った際にユーザーが感じる体験・感情を指します。ウェブ制作の際によく使われる言葉ですが、ウェブページに限った話ではありません。
ユーザーが製品やサービスを使ったとき、その個別の機能や使いやすさのみならず、ユーザが真にやりたいことを楽しく、心地よく実現できるかどうか。
これを重視した概念なんです。
例えばiPhone。使っていて「使いやすい」と感じることはあると思います。でもそれだけじゃなくて、「楽しい」とか「面白い」とか、他の良い感情を持つことも少なく無いと思います。
例えばスターバックス。コーヒーが格別美味しいわけでもないし、もっと美味しいコーヒーはいくらでもある。でも、あの空間がなんか落ち着く。店員の雰囲気も含めて、なんだか居心地がいい。
そういった、ユーザーの体験・経験・思い・気持ち……。それがUX。
UXにとって、「使いやすい」とか「便利」と言うのは、ほんの一面を切り出したに過ぎません。
本当の意味で「UXを考えられたプロダクト」と言うのは、「どうしたらユーザーにとって心地よい体験が得られるか」を考え抜かれたものなんです。
……と、言うような内容の話を、先日社内セミナーで学びました。
それを聞いていてふと思ったんです。「じゃあ、自分のブログの記事は、良いUXを達成できているだろうか」と。
良いUXとはなんぞや?
さて、冒頭でもお話した通り、「使いやすい」とか「便利」と言うのは、ユーザーが体験する感情の一面に過ぎません。
なので、「使いやすい」「便利な」プロダクトを作ったとしても、それは「良いUX」とは言えません。ありますよね。便利なんだけど面白みに欠けて、なんだか愛用する気になれない物って。
では、どういう物が「良いUX」と言えるのでしょうか。それを分かりやすく図解したのが、「UXハニカム構造」という物です。
UXハニカム構造
UXハニカム構造は、「UXを構成する要素」を抜き出したもの。これらの要素を考えぬかれたプロダクトこそ、「良いUX」なのだと言えます。
では、これをブログの記事に当てはめてみるとどうでしょう。どういう記事が、ユーザーにとって良い体験を与えられるのでしょうか。
"ブログ" というメディアについて考えてもいいのですが、今回は "ブログの記事" にフォーカスを当てて考えてみたいと思います。
1.Useful:有用性
その記事は、ユーザーにとって役立つネタあるだろうか。
その記事は、読んだ人に対して、生活の豊かさや変化を与えることができるだろうか。何か考え方やアイデアを喚起できるような内容だろうか。
誰かの役に立てているだろうか。
2.Usable:便利さ
読んだ人に対して、必要なアクションを提示してあげられてるだろうか。
説明に過不足はないか。補足するべきところはないか。
商品のリンクは設定されているか。理解を深めるための関連記事やコンテンツへのリンクはあるか。
ユーザーの次のアクションを想像して、そのために必要な導線は引けているだろうか。
3.Findable:迷わず目的地へたどり着ける
話の要点や趣旨が分かりやすいだろうか。結論から話せているだろうか。
重要な点は強調されているか。主語と述語は明確かだろうか。変な修飾語の使い方はしていないだろうか。
記事のメッセージは、ちゃんと読者に届いているだろうか。
4.Credible:信頼できる
信頼できる記事になっているだろうか。信頼感のある記事になっているだろうか。
内容の裏付けはとってあるか。意見と事実は明確に分かれているだろうか。
言葉遣いは適切だろうか。過度に馴れ馴れしくなく、過度に丁寧な話しぶりになっていないだろうか。
言い切っているだろうか。曖昧な表現をして、読者を迷わせていないだろうか。
5.Accessible:誰もが見れる
その記事は、誰でも見られるようになっているだろうか。
PCだけでなく、スマホユーザーでも見やすいように設計されているだろうか。
画像を使いすぎて、ページが重くなりすぎていないか。通信環境によって極端に遅くなるようなページ構成になっていないだろうか。
6.Desirable:魅力・好ましさ
読みやすい記事になっているだろうか。
フォントの大きさや文字の感覚は適切だろうか。行間が開きすぎたり、逆に狭すぎたりしていないだろうか。
参考リンク・商品リンク・補足説明・タイトルや見出しなど、文中の各要素がどのような役割になっているか、デザインで表現できているだろうか。
また、文章の構成が分かるように表現されているだろうか。
読み手が心地よく読める配慮はされているだろうか。
7.Valuable:価値がある
その記事は、誰かにとって価値があると言えるだろうか。
その記事は、何のために書かれたのか。誰に向けて、どんな思いを伝えるべく筆を取ったのだろうか。
その記事の意義を、自分は語れるだろうか。
あとがき
今回の話も、これを達成できれば必ず「良い記事」が書けるって訳ではありません。
ですが、ひとつの指標・ひとつの考え方としては非常に良い気がしています。
ちょっとしたチェックリストみたいな感覚で、自分の記事を振り返ってみてください。あなたの記事は、良いUXを達成できていましたか?
それでは、今日はこのあたりで。