ノイズキャンセリング機能のついたオーバーイヤー型ヘッドホンはよかった。音の広がりを感じつつ、自分だけの世界に没頭できる感覚が好きだ。
ノイズキャンセリング機能のついたイヤホンもよかった。迫力のサウンドも魅力的だし、小型だからカラビナにくっつけて気軽にどこへでも持ち出すことができた。
骨伝導式ヘッドホンも良い。耳を塞がないので、環境音を取り入れながら、生活の中に軽いBGMを添えてくれるような心地よさがある。
それぞれにはそれぞれの魅力があって、優劣をつけられるようなものではなかった。それぞれにはそれぞれ輝ける日常のシーンがあって、「最高の逸品」を決められるようなものではないだろう。
ただもし「わずらわしい気持ちから解放されて、ストレスフリーで気軽に使えるイヤホンランキング」があったら、ぼくはインナーイヤー型のイヤホンをイチ押しする。特にいまぼくが使っている「SOUNDPEATS AIR3 DELUXE」は非常に良いイヤホンでおすすめできる。
今回はそんな「SOUNDPEATS AIR3 DELUXE」について、メーカーの方から製品をご提供いただいたので、そのレビューをしようと思う。忖度なく、ただありのままに感じたことを書いたので、ぜひ参考にしてもらえたらと思う。
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE の概要とフォトギャラリー
「SOUNDPEATS AIR3 DELUXE」は、インナーイヤー型のワイヤレスイヤホン。シリコンのチップなどはなく、耳に引っ掛けて装着するタイプのイヤホンだ。
その品質はお墨付きで、国内最大級のオーディオビジュアルアワード「VGP 2022 SUMMER」で金賞を受賞したほどだ。
商品のカタログスペックは以下の通り。これだけ充実した機能で、価格が6千円弱というのだから驚きだ。
基本仕様 | |
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ドライバー | 14.2mmダイナミックドライバー |
通話用内蔵マイク | 高感度MEMSマイク*2(片側) |
本体寸法(L*W*H) | 17.3*17.7*33.9 mm(ケース込み) |
NET | 約4g(イヤホン/片側) 約33g(充電ケース+イヤホン両側) |
防水規格 | IPX4 |
搭載チップ | QCC3040 |
その他 | cVc8.0通話ノイズキャンセリング |
Bluetooth仕様 | |
Bluetoothバージョン | 5.2 |
チップセット | Qualcomm 3040 |
対応プロファイル | HSP,HFP,A2DP,AVRCP |
対応コーデック | aptX-Adaptive,aptX,AAC,SBC |
通信範囲 | 10M |
バッテリー | |
バッテリー容量 | 280mAh(ケース) 40mAh*2(イヤホン) |
最大再生時間 | 約5時間 |
充電ケース併用 | 約21時間 |
イヤホン本体 充電時間 | 1~2時間 |
充電ポート | USB Type C |
ブラックで光沢感のある充電ケース。お世辞にも高級感を感じることはなく、非常にリーズナブルなプラスチック感を感じる。
ただ、フォルムがコロコロと丸っこく、可愛らしくはある。また、見た目以上に小さく、そして軽い。
ぼくがいつも「重い充電ケース」でおなじみの「Bose QuietComfort Earbuds」を愛用していたからかもしれないが、それにしても軽い。これからカバンや腰にぶら下げても、そこまで邪魔に感じることはない。
ケースの前面にはマルチボタンとインジケータがついており、フタを開ければバッテリー残量がインジケータで確認できる。
イヤホン自体はマットな質感となっていて、さらさらとした肌触りが気持ち良い。耳に引っ掛けたとき、プラスチックのトゲトゲした感じがなく、長い時間つけていても違和感がなかった。
マイクはそれぞれ2基ずつ、計4つ付いている。またノイズリダクション機能が備わっているため、テレビ会議や通話時には周りの雑音を軽減してくれる。
内側には着脱検知センサがついており、イヤホンを付け外しすると、音楽を自動的に再生/停止してくれる。
イヤホンの横にあるロゴマークはマルチファンクションボタンとなっており、タッチ操作に対応。タッチする長さや回数に応じて様々なさまざまな操作が可能となっている。
片側の重量約4g と非常に軽いのにも注目だ。耳への異物感がほとんどない。仕事中ずっと着けている日もあったが、耳が痛くなることはなかった。
コンパクトで軽量ではあるが、耳に入れたときのフィット感が非常に良くておどろいた。「耳に引っ掛けてるだけで、簡単に落としちゃいそう…」という心配を感じないで済むのは、インナーイヤー型のイヤホンとして非常に重要なポイントである。
最後に機能面についてのご紹介を。
Bluetoothのバージョンは最新の5.2。コーデックは高音質/低遅延な「aptX Adaptive」にまで対応。
また「ゲーミングモード」という低遅延モードを搭載しており、音ズレを極力減らせるモードも搭載している。スマホでゲームをする人にとっては重宝する機能だ。
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE の Good ポイント
ここからは、ぼくが実際に使ってみて感じたポイントについてお話ししよう。
先に総評だけお伝えしておくと、非常に満足感の高い逸品だった。音質の良さはもちろん、なによりも装着感の軽快さを感じていて、気軽に気楽に使える心地のいいイヤホンだ。
耳への負担が少なく、自然で軽快な装着感
インナーイヤー型イヤホンの最大のメリット「耳をふさがない、軽い装着感」。これが心地良い。
最近は耳をガッツリ塞いで音楽に浸るような、ノイズキャンセリング搭載のイヤホンが主流だが、ぼくはこういったライトな使用感のイヤホンが好きだ。音楽を鑑賞するのではなく、音を楽しめるイヤホンのほうが、ぼくの生活には似合っている。
そういう用途で、このSOUNDPEATS AIR3 DELUXEは、ぼくにとっての最適解だった。
つや消しのマットな質感で肌触りがよく、耳に入れたときに異物感を感じない。他のイヤホンで感じるような、プラスチックのガチガチした硬さがないのだ。
また、片耳の重さが4gと軽量で、耳への負担、そしてそこからの首や肩への負担も非常に少なく感じる。実際、日中のワークタイムで着けっぱなしだが、なにも負担に感じることはなかった。
インナーイヤーながら迫力のあるサウンド
インナーイヤーでありながら、音質を犠牲にしていない点も非常にうれしい。
14.2mmのダイナミックドライバを搭載し、音を細部まで忠実に表現。迫力のある低音と、キレイでクリアな高音が、バランス良く調整されている印象だ。
インナーイヤー型のイヤホンは、その形状ゆえに、耳への密着感はそこまで高くない。軽快なつけ心地がメリットでありながら、音に包み込まれる感覚には浸りづらいものである。
しかし「SOUNDPEATS AIR3 DELUXE」の音は非常にダイナミックで、インナーイヤーらしくない、満足感のある音質であった。
低音から高音にかけてバランスが取れていて、非常に聴きやすく、気持ちのいいサウンドである。音の粒もひとつひとつクリアでストレスがない。
ぼくは音楽の専門家ではなく、一般人が日常で音楽を楽しむレベルの人間だが、このイヤホンで不満を感じることは一切なかった。音楽鑑賞・映画鑑賞・ゲームプレイなど、幅広い用途で活躍してくれる。
ノイズを低減してくれる通話性能
最近では、イヤホンは「音楽鑑賞」という役割だけでなく、「リモート会議での通話」という側面でも重要なポジションとなってきた。
マイクの性能が悪くて相手に声が届かなかったり、周りの雑音を拾いすぎて相手に不快感を与えたりでは、もうイヤホンとしての役割は果たせない時代だ。しかしAmazonに並ぶイヤホンには「音質はいいのにマイク性能がポンコツ」なんてものも少なくない。
そんな中、SOUNDPEATS AIR3 DELUXEは安心していい。
cVc8.0通話ノイズキャンセリング機能を搭載しているため、周りの雑音を拾わず、ユーザーの声だけを相手に届ける。雑音を完璧に防ぐわけではないが、チームメンバーと働く仕事場で使用しても問題ないぐらいには高性能だ。
実際このイヤホンを使って1週間ほど仕事をしているが、通話相手からクレームを受けたことはない。
右も左も、片方だけで使うことができる
最近では自宅でのリモートワークがほとんどだが、そこで気をつけているのは「日常生活」だ。
家での仕事は、「家を仕事場として借りている」わけであり、その基盤は「生活」だ。家族と一緒に生活をしている家のなかで、ぼくだけ両耳にイヤホンを突っ込んで「自分は家のことに関与しません」なんて姿勢は許されない。
なので、外部の音を聞き取りやすいインナーイヤー型イヤホンであっても、ぼくは片耳を空けるようにしている。そうすれば、話しかけられてもすぐに反応できるし、宅配のインターホンにも出られる。
そんなぼくに、SOUNDPEATS AIR3 DELUXEはピッタリだった。
このイヤホンは、右でも左でも、どちらでも「片耳」で使うことができる。イヤホンの種類によっては「片耳モードは右のイヤホンだけ」なんてものもあるが、SOUNDPEATS AIR3 DELUXEはそれぞれが片耳モードに対応している。
これができると、バッテリー切れの心配もなくなるのだ。
たとえば右のイヤホンを使い続けて、バッテリーがなくなったら左に切り替える。こうすれば、バッテリー切れの心配がなくなるのだ。数時間のビデオ会議にも対応できる。
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE の「ここがおしい!」
実際に使ったからこそわかる「イマイチ!」なポイントもある。それを正直な気持ちとしてお伝えしよう。
ただし、これはあくまで「ぼくが使っていて感じた "おしい" ポイント」だ。それが必ずしも欠点ではなく、人によってはGoodポイントにもなり得たかもしれないものである。
マルチペアリングに非対応
マルチペアリング、つまり普通のデバイスに同時接続できる機能。これには非対応なのが非常におしい。
ぼくは基本的にMac・iPhone・iPadの三種をつねにそばに置いていて、作業の内容によって使いわけている。zoomをつなぐ先もまばらだし、音楽や動画を再生するデバイスも不定期だ。
イヤホンの接続先がコロコロ変わるので、マルチペアリングが使えないといちいちつなぎ直さなければならず、非常に面倒くさい。せめて2台同時につなげるようになっていたらよかった…。
着脱検知センサがじゃまをする
着脱検知センサが付いているので、イヤホンを耳につけると自動的に音楽が再生され、外すと自動的に停止してくれる。
…のだが、これが正直、ありがためいわくと言わざるを得ない。
「イヤホンを入れる=音楽を聴く」ではないのだ。ビデオ会議をするためかもしれないし、Youtubeで動画を見るためかもしれない。なのに強制的に音楽が流れはじめるから、毎回手で停止をしなければならない。
この手間が本当に面倒なのだ。あるときなど、知らず知らずスピーカーの音量が爆音になっていて、耳が吹っ飛ぶかと思った。
しかし幸いなことに、専用のアプリからこの機能をオフにすることができる。もう鼓膜を痛める心配はない。
ケースから取り出しにくくてポロりと落ちやすい
ケースからイヤホンを取り出すのに、意外と神経を使う。これが地味にストレスになっていて、困っている。
ケースから出っ張っている部分が少なく、指先でつまむ形で取り出すのだが、かなり不安定な状態でつまみ上げる形になる。これがかなり不安定で、指先に込める力をちょっと間違えると、かんたんに手から滑り落ちてしまう。
しかも小さくて、軽い。つや消しのマットな質感だからこそ、ツルンとすべっていきそうになる。もう少し、安心安全に取り出せる設計にしてくれたらいいのにと、使うたびに思わざるを得ない。
まとめ
SOUNDPEATS AIR3 DELUXE はインナーイヤー型としては非常にコストパフォーマンスの高い逸品だ。
いや。コストとパフォーマンスを天秤にかけるのも失礼な話か…。「6,000円という値段の割には、優秀は品質である」というのではなく、ただただ純粋に、製品としての完成度が高いように感じた。
ぼくのように、日常生活のなかで気軽に使えるイヤホンがほしいと考えているなら、SOUNDPEATS AIR3 DELUXEは十分に望みを叶えてくれるイヤホンだろう。