ぼくのいまの愛用キーボードは、Logicool の「MX Keys mini」だ。MacBook Airを使うときでも、このように、キーボードの上に乗せて使っている。
「メカニカルキーボードならいざ知らず、Macとおなじ薄型のキーボードなら、わざわざこんな面倒な使い方をする必要ないんじゃないの?」
というのは、至極もっともな意見だと思う。だけれど、やはりぼくにとっては「MX Keys mini」のほうが、Macのキーボードよりも優れていると感じる点がいくつもある。
これはMacに備え付けられているキーボードだけの話ではない。Appleが販売している外付けのキーボード「Magic Keyboard」と比べても、やはりぼくは「MX Keys mini」のほうが好きだ。
その理由はひとえに、キーボードをタイプしたときの心地よさによるものだ。
「MX Keys mini」が「Magic Keyboard」より勝っていると感じる理由
Macのキーボードも、MX Keys miniも、両方とも薄型のキーボードであることに代わりはない。厳密にいえば、機構の名称が微妙に異なっているが、構造としてはほぼ同じだ。
Macのキーボードは「シザー構造」といって、ハサミのような二枚構造の金具がエックスの形で支えている。
キーストロークは1mm。過去に採用されていた「バタフライ構造」よりも、より深く沈み込む構造にやっており、薄型のキーボードながら確かなタイプ感を実感できるようになっている。
一方の MX Keys mini は「パンタグラフ方式」。電車の上に設置されていて、電気を取り入れるために付けられている「パンタグラフ」に似ていることから、この名称がついか。
こちらも「シザー構造」と同様、二枚の金具がエックスの形をして支えており、薄型キーボードでは広く一般的に普及しているタイプだ。
キーストロークは 1.8mm。Macのキーボードよりの約2倍の深さまで沈み込むようになっており、より強く、キーをグッと押した感覚を得ることができる。
このキーストロークの違いが、タイピングの気持ちよさに大きく影響しているのだろう。
MX Keys mini のほうが、明らかに「タイプした」という実感を得られる。キーを押して、そして跳ね返ってくる感覚を、指先から確かに感じられる。
この感覚が得られることによって、ぼくは「タイピングが気持ちいい」と感じられるのだ。
「コツコツ」「ガツガツ」「ズコズコ」も好きですけど、個人的には「パチパチ」も嫌いじゃないのです。
— ばんか|リンゴ系モノカキー (@bamka_t) June 13, 2022
特に MX KEYS mini は、パンタグラフですけどストロークが深めで、タイプした実感がキチンと感じられるから好きです。#mx_keys_mini #logicool #キーボード pic.twitter.com/SKjTKRdTpb
キーストロークの深さは、個々人の好みがある。「浅いストロークのほうが、小さな力でパパパっとタイプできるから好きだ」という人もいれば、「キーストローク深いほうが、キーを叩いている感覚が得られて気持ちいい」という人もいる。
MX Keys mini は、このバランスが丁度いい。
つまり、ストロークが浅いことで得られる「小さな力でもきちんとタイプできる」というメリットと、ストロークが深いことで得られる「タイプすることの快感」というメリットの、両方を得られるのだ。
それにくわえて、この、キーに付けられたくぼみだ。
球状で丸みをおびたキーは、触れた指先が吸い付くようにフィットする。エッジが丸みをもっているので、キーのどこをタイプしても十分なフィードバックを感じることができるのだ。
そして最後に、この肌触り。これが最高なのだ。
すべてのキーにつや消しコーティングが施されていて、触れた指先を、サラサラとなめらかに滑らせることができる。
長時間キーボードを触っていると、どうしても指先も湿りがちになり、指の滑りが悪くなったり、キーが指先にくっつくような不快感を感じることがある。
しかし MX Keys mini には、そういった不快感がなく、長時間のタイピングでも変わらないパフォーマンスを維持できる。
「MX Keys mini」はメカニカルキーボードにも劣らない使い心地
たしかに、HHKBやFILCO、あるいは Logicool から新しく発売される「MX MECHANICAL」などの、キーが独立しているタイプのメカニカルキーボードの方が、タイピングしたときのフィードバックは気持ちいい。
特にぼくが愛用している HHKB などは、タイプするのが楽しくなるほど気持ちよくてクセになるほど。独特な「ゴスゴス」というタイプ音の耳障りが好きで、タイプする指も踊るというものだ。
しかし一方、ストロークが深く、キーを押すのにもある程度の力が必要になり、指の動きは多少なりともダイナミックになる。コピペを繰り返すような細かい作業を続けていると、意外と手が疲れてきてしまうのだ。
MX Keys mini は、この中途半端さが良い。パンタグラフ方式の薄型でありながら、きちんとした打感が得られるように設計されていて、一般的な携帯用薄型キーボードなどとは比べ物にならないぐらいの快感を得られる。
かといって、メカニカルキーボードほどの力はいらない。XDを使ってワイヤーフレームや資料を作るような、細かい操作の連続であっても、指への疲労感は大きくなく済んでいる。
あとがき
キーボード選びは実に難しい。最適な一品は、人によって違うし、普段の使い方によっても異なる。自分にとって相性の良いものを見つけるのは骨が折れるし、お金も掛かる、長い道のりだ。
ただ、もしあなたがその旅路のスタートラインを切ろうとしているなら、はじめの一歩に「MX Keys mini」を選択するのは、賢い選択だとぼくは思う。