字を書いて、相手に伝える。それだけなのに、これがとても難しい。
想いはどうしたら相手に伝わるのか。考えても考えても、いまだに答えは出ていません。
ですが幸いなことに、毎日10,000人以上の方が、ぼくの文章を読みにきてくださっています。これはとてもとても有難いこと。
ですが、ぼくの文章は特別なものではありません。クセもなければ、笑いも取れない。 唯一、ぼくが「ばんかの文章」を書ける理由があるとすれば、それは私の文章に対する考え方だと思います。
それが、「文章は引き算だ」という考え方。
長く書こうと思えば、ぼくはいくらだって書けます。伝えたいことは山ほどあるので、それを止めどなく垂れ流すことは造作もありません。
ですが、長ったらしい文章は想いが届きにくい。遠回りをしてしまう分、逆に伝わりにくくなってしまうのです。
では、具体的に何を減らせばいいのか。文章の中で、いらないものは何か。
今日は、引き算の文章術についてお話ししましょう。
文章における主張は1つに絞る
文章に含まれた主張は1つに絞る
まず、自分が主張したい想いは1つに絞るべきです。
話が二転三転してしまうと、読み手は「結局なにが言いたいの?」と感じてしまいます。
伝えたい想いがあるなら、それに注力すること。それが、どんなに長い文章になったとしてもです。これがとても大切。
言い足りないのであれば、それは別の機会に回しましょう。
段落においても、言いたいことは1つ
長い文章を読みやすくするために、段落を使うことがあります。その段落1つ1つでも、要点を絞りましょう。
逆に言えば、2つも3つも言いたいことがあるのなら、その数だけ段落を作ればいいのです。
文の中でも、言いたいことは1つ
1つの文の中でも、言いたいことは1つだけです。
例えば、以下の文。
「明日の会議は13時から始まり、部長も同席されるので、社内の要望などを各自まとめておいてください」
言いたいことが日時の連絡なのか、会議の内容についてなのか。読み手も困惑してしまいます。
両方とも大事なのであれば、文を分けるべき。「会議は13時からです」「社内の要望をまとめておいて」と、文を短く分ければいいだけのことなのです。
センテンスを短くする
センテンス、いわゆる文ですね。文は1つの塊です。この塊の集合が、文章になります。
ここでは、文を短くするコツを3つお話しします。
なくても伝わるなら、それはいらない一言
例えば「基本的に」「簡潔にいうと」など、別になくても文意を削がないのであれば必要はありません。
余計な修飾語は、極力なくしていきましょう。
ひとつの文の中に同じ単語を入れない
1つの文の中に、同じ単語が複数回でてくる必要はほとんどありません。もしそうなった場合は、もしかしたら主張が2つ以上含まれているかも。
であれば、言い回しを変えて、文を分けてしまったほうがいいですね。
ダラダラした表現をなくす
「というようなこと」など、無意味に文字数を増やす表現はなくしましょう。
言い切りたくない。あいまいな表現で逃げ場を残したい。そういう気持ちも分からなくないですが、読み手にとっては嬉しくない配慮です。
そこはバシッと言い切ってしまいましょう。
主張・詳細・理由は別々の文で
一つの文で説明し切ろうとすると、どうしても長くなってしまいがち。
「◯◯だ!」「例えば××」「なぜなら**」と、別々の文にしてスッキリさせよう。
ただし、接続詞の使い方には注意。正しく使わないと、意味が曲がって伝わってしまいます。
読み手の考える隙を減らす
文章は、相手に伝えるもの。ですので、読み手が考えたり悩んだりする文章は、良いとは言えない。
私は小説家ではありません。ですので、読み手によって解釈が違っては困るのです。
また、私が目指すのは「流れる文章」。
つまり、文章の途中で考える必要がなく、スルスルと頭に入っていく文章。これこそ、私が考える"良い文章"なのです。
そのために私が気をつけていることを3つ、お話ししましょう。
主語と述語をなるべく近づける
文の基本構造は、主語と述語です。
これが極端に離れてしまうと、その文の主張が見えにくい。読んでいても「あれ?なんの話だっけ?」と忘れられかねません。
ふたつ以上の解釈ができないように
読点の位置は正しいか?語順は正しいか?どの単語を修飾しているか明確か?
これらを正しい配置にしないと、いくつかの解釈ができる文になってしまいます。そうすると、あなたの意図が曲がって伝わるかも。気をつけましょう。
漢字を減らす
相手に考えさせないのが、良い文章。自分の博識をひけらかす場では決してありません。
ですので、意味もなく難しい漢字を使って、読み手を困らせるのはやめた方がいいでしょう。
読みやすい文章にするために、漢字を優しい言葉で言い換えたり、ひらがなカタカナを活用するとイイですね。
あとがき
昔々、私は自分が書く文章が嫌いでした。
なんのクセもないので、自分の個性のようなものが見つからなかったからです。「自分の文章は自分にしか書けない」と、自信をもつことができませんでした。
面白い文章を書くことも、人を笑わせることもできない。あるときは無理に笑いを取ろうとして、空回りを続けた時期もありました。
ですが、ただ1つだけ、私がずっと気をつけてきたことがあります。
それが、「どうしたら伝わりやすい文章になるか」ということ。
今の私がそれを達成できているかは分かりません。ですが、ただこれだけを気をつけてきただけで、今では「私にしか書けない文章」ができあがりました。
無理に自分を曲げる必要もないし、誰かのマネをする必要もありません。
しかし、どうしたら相手がわかりやすいか。それだけは気を配るべきだと私は考えています。