日記を取り続けることは、日々の軌跡を残すこと。どういう経緯を経て今があるのかを認識するのに役立ちます。ログを取ることの重要性は各所で話がありますので、今回は割愛します。
ただ、継続というのは難しい。「大事だと、わかっちゃいるけど、続かない」と川柳ができるほど、悩ましい問題であります。
そこで、来年こそは日記が続けられるよう、私がお手伝いしましょう。「これさえやれば、絶対続けられる!」なんて魔法はありませんが、肩の力を少しばかり抜いて差し上げることはできるでしょう。
前置きもこれぐらいにして、それでは参りましょうか。
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■目次(※ページ内リンクします)
▶[3]何が自分にとってのハードルかを見極めて、自分にあった記録方法を見つけよう
▶[4]記録の方法は変わっても良い。保存場所が決まってるならそれで良い
▶[6]余白を埋めるために、切って貼ってを繰り返したっていいのさ
▶[9]たまに振り返ってはニヤニヤして、モチベーションを高めよう
[1]逆に考えるんだ。書かなくたっていいやと
まず最初にお伝えするべきだと思ったのは、「書かなくても良い」ということです。正確に言えば、「書かなかった日があっても構わない」ということです。
もちろん、毎日続けられるのは望ましい。けれど、書けなかった日があったからと言って、次の日も書かないで良い理由にはなりません。
「少なくとも一ヶ月は毎日書こうと思ったのに、昨日書けなかったなぁ。…コンプリートできなかったし、あーなんだか今日も書く気がしない。面倒だなぁ。いいや、一回も二回も同じだよ。どーせ一ヶ月続けられなかったんだし。」
テンション的には、こんな感じに陥るでしょう。ですがこれは、書かなくても良い理由を自分で作っているだけです。
人ってのは放っておくと、何かと理由を付けたがる生き物ですからね。自分の都合の良い方に、良い方に。
だから、昨日の自分と今日の自分は、ハッキリと決別しましょう。いつまでも引きづられないように。
一昨日書けなかったのは構わない。昨日書けなかったのも構わない。でも、今日という一日は「書くぞっ!」と決意を新たに挑んでくださいね。
[2]記録ではなく、誰かに当宛てる手紙のように書く
ログを残す時に気をつけたいのが、無機質な文章にならないようにすること。事実だけを列挙して「〜があった」「〜だと思った」なんて感じの、心も宛先もない文章はやめた方が良い。
ログというのは、見返した時に初めて意味を成します。つまり、最終的には読まれる文章なんです。それが先ほどのような無味無臭の文章では、読む気にさえなりません。
では、どうするか。手紙を書いてください。
宛先は、未来の自分です。話しかけるように、語るように。時には、愚痴をこぼすように。
どんなに辛辣な言葉でも、どんなに稚拙で支離滅裂な文章でも、未来の自分は受け入れてくれます。また、他人に読まれる事のない、自分だけの手紙なのですから、ありのままをぶつけてください。
本音でぶつかって欲しい。変なプライドで塗り固めたような言葉でなく、ありのまま思ったままを、手紙として残してください。
逆に言えば、こんなに素晴らしい事はないんです。他人に見せられないような黒い自分でも、必ず受け止めてくれる人がいる。これほど寛容に、ありのままを受け入れてくれる人間は、世界広しと言えども他にいません。
だから、せめて未来の自分に対しては、気取らずに、今のあなたをぶつけてみてください。存分に語ってみてください。その文章を一週間後のあなたが見返した時、私の言った意味が良く分かると思います。
[3]何が自分にとってのハードルかを見極めて、自分にあった記録方法を見つけよう
では次に、記録を取る方法です。一番に思いつくのは「紙に書く」だと思いますが、それだけが日記の形式ではありません。
日記はそもそも、今日という一日すべてを残すことではありません。起こった出来事を思い出すためのトリガー(引き金)なんです。
例えば写真一枚でも、いろんな思い出が蘇ってくるでしょう。数年前の写真であっても、一度それを見れば「あぁ、そうそう。この時が愛犬の初めての散歩だっけ。初めての外の景色にオドオドして、全然進めなかったんだよなぁ」なんて思い出される。
ライフログの素晴らしさって、こういう所なんですよ。
人の頭って、自分が思ってる以上に、古い記憶でも鮮明に覚えてる。ただ、0から思い出すことができない。だから、記憶を呼び起こすためのトリガーが必要なんです。それが、ライフログ。
少し脱線しましたね。
つまり、記憶を呼び起こすトリガーは、何も文章だけではないんです。写真でも、ビデオでも、パソコンで打ち込んだテキストでも。何でも構わないんです。
どういう方法で記録を取るのが、自分にとって一番ストレスなくいられるか。それを見極めて、自分が楽な方法を探しましょう。形はなんであれ、最初はログを取ることが大切です。
[4]記録の方法は変わっても良い。保存場所が決まってるならそれで良い
上述の通り、記録の方法は自分のやりやすい方法で構いません。また、記録の方法はいつでも変わって構いません。
例えば年初に日記帳を買ったからといって、それを必ず使い続けなければいけないかと言えば、そういうわけではないんです。途中で他のノートに変えても良いし、写真や動画が主体になってもいい。
ただし、その時に1点だけ重要なのは、保存場所を決めておくこと。1箇所、多くても2箇所ぐらいには限定しておきましょう。
例えばノートを変えたとしても、そのページの写真を撮ってEvernoteに保存すれば、保存場所は1箇所ということになります。「日常的に撮りためた写真と動画はPicasaにまとめる」と決めておけば、Evernoteと含めても2箇所です。
記録場所の分散を防ぐことで、ログを見返すのが楽になります。
ログは、見返してこそ意味がある。「あの記録、どこに行ったんだろう?」という自体だけは避けなければなりませんよ。
[5]文字で残すログはテンプレートを活用しよう
ペンを取ってノートに向かう。けれども、何から書いていいのか迷ってしまう。こういう事は往々にしてあり得ます。
そんな時に便利なのがテンプレートの存在です。
テンプレートは、要は型枠です。アンケート用紙をもらって「お好きに感想を書いてください」と言われるよりも、「こうした方が良いと思う点は何ですか?」と聞かれた方が、スラスラ書けますよね?それと同じです。
まっさらな白紙に書き込むよりも、何かしらの道筋が照らされていた方が書きやすいのです。
テンプレートはアイデアの数だけ存在します。例えば有名なものは「四行日記」や「3GoodThings」など。また、自分で自作するのも良いでしょう。以下に私がよく使っているテンプレートを簡単に列挙します。
◇四行日記
→今日を振り返るためのテンプレ。出来事をピックアップし、「事実」「気づき」「教訓」「宣言」を記載する。
◇3GoodThings
→今日あった「良かったこと」を3つ書き出す。
◇3Thanks
→今日感じた「ありがとう」を3つ書き出す。
◇感情ログ
→喜怒哀楽にフォーカスをして、自分の感情の揺れ動きをピックアップして記録する。
◇選択ログ
→自分が行った選択にフォーカスをする。「自分の行った選択」「そうするにいたった思考プロセス」「判断に用いた情報」「結果の評価」「なぜ、うまくいったか、いかなかったか」という5つの質問に答える形式。
◇今日の点数
→今日という一日に10点満点の点数を付ける。そして、足りなかった場合は「10点にするためには何をしたらいいか?」と問い、満点だった場合は「11点にするには何をしたらいいか?」と問い、それに答える。
◇今日の総括と反省
→「達成感を感じたことは?」「そのために何をした?」「課題だと感じたことは?」「原因は?」「次はどうするべき?」「まずは何をする?」という6つの質問に答える。
[6]余白を埋めるために、切って貼ってを繰り返したっていいのさ
ノートに日記を書いていると、どうにも余白が気になってしまう。空いたスペースを埋められないことにストレスを感じる。そんな「余白恐怖症」な人はいませんか?私は正にこれです。
私はよく、「一日の早い段階で書きすぎて、メモを取る余白がなくなったら嫌だ」と感じてしまい、スペースを残す癖があります。なのに夜になると、余白が埋まらなかったことに落胆し、どうにも気分が上がらない。そんな悪循環が起こります。
これを予防する方法として、私はよく切って貼ってを繰り返すようにしています。
例えば、ロディア書いた小さなメモを手帳のデイリー欄に張ったり、その日に観た映画の半券を張ったり。何にせよ、手帳のデイリー欄が埋まればそれでOKなんです。
じゃあスペースが足りなくなったら?そしたら他のノートの切れっ端に書いて、それをまた手帳に貼り付ければイイんです。こうすれば保存場所を1箇所にまとめておけます。
余白が無くなって書くスペースがなくなっても、それを増やすことは簡単にできます。なので、まずは書きまくりましょう。どうでもいいことでも構わないので、一度ノートを真っ黒にしてみましょう。
[7]埋まらない余白が嫌なら太いペンを使おう
「余白恐怖症」な私が、スペースを埋めるために行なっているもう一つのコツは、太いペンを使うことです。
私は万年筆を常用しており、ペンの太さが M(中字)です。これだと結構の太字で、字を大きく書かざるを得ません。またボールペンでも、0.5未満のペン先の物は使いません。
細いペンを使うと、綺麗な字が書けるような気がして、みなさん好まれますよね。でも私は、細いペンを使っていると、余白が全然埋まらないことにストレスを感じるんです。
だから私は太いペンを使い、大きく字を書く。
それに、太いペンで書いた字の方が、見返しやすいんです。細く細かい字は、読むのに集中力が必要です。どこに何が書いてあるかも、一見して分かりにくい。
先ほど言った通り、スペースを増やすことは簡単です。切って貼ってすればいいんですから。だから余白は大事に使うのではなく、無駄と思えるぐらい豪快に使っていきましょう。
[8]お気に入りの道具を揃えよう
万年筆の話が出たので、それに関係した話を一つ。道具は自分のお気に入りを持つようにしましょう。
私は常々「道具には心が宿る」と考えています。別に、日本古来から言われている付喪神のような考えはないのですが、自分の注いだ愛情は、注いだ分だけ蓄積されるものだと感じています。
注いだ分だけ何かが変わるわけではありません。ですが、そこには一種の "一体感" や "手に馴染む" ような感覚はあります。それが私の言う「心が宿る」という表現。「心が通う」と言った方がいいのかもしれませんね。
いずれにせよ、身の回りはお気に入りで囲っておいた方がいい。妥協するのではなく、本当に自分が好んで使っている道具を身にまとっていると、それを使うことが当然となり、ストレスがなくなります。
習慣化の一番の敵は "ストレス" です。自分の弊害となるものは極力排除し、摩擦をなくす。これが習慣化に関して最も重要です。
今までの話もすべて、「どうしたらストレスなくログを取れるか」に注力した話だったとお気づきになるでしょう。
[9]たまに振り返ってはニヤニヤして、モチベーションを高めよう
最後に、モチベーションを維持するためのコツをひとつ。それは、定期的に日記を読み返すことです。
昨日の日記でもいいですが、できるならもっと前のものを。一ヶ月前、一年前の日記を、改めて読んでみてください。とても不思議な感覚を得ることができます。
「あぁ。自分はこんなこと感じてたんだなぁ。」と感傷に浸ることもできる。「昔はこんな考え方してたんだ」と自分の成長を感じることもできる。
過去の自分と再会できると、そこにはいろんな発見があります。
人は普通に生きていると、常に未来に向かってしか歩けません。どんなに頑張っても、時間の流れは前にしかすすんでいかないんです。だからこそ、ふと過去の自分と再会してみる機会を作ってみてください。
普段は面倒臭い日記の習慣も、たまに見返すことが「楽しい」と思えるはずです。そうすることで「無駄じゃない」「もう少し書いてみようか」と、今日の日記の筆も進むかと思います。
あとがき:気楽に挑んでほしい
日記なんて、肩の力を入れて書くものではありません。自分の書きたい時に、書きたいことを、書き殴れば良い。
ですが、続けることに意味があります。過去にプロットを置いておくことは、自分の軌跡を刻んでいくことです。今まで流れ過ぎ去っていった過去を、現在に紐付けることができます。
年の瀬は、とても良い区切り。一つ来年の1月1日から、日記を続けてみてはいかがでしょうか。
それでは、今日はこのあたりで。