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「iPhoneの充電完了時間を示すショートカット」がウソである理由と根拠

SNSにて「iPhoneの充電完了までの時間がわかるショートカットが便利!」といった投稿がバズっていました。たしかに、本当に充電完了時間がわかるなら、それは非常に便利です。

ですが、それって本当か?と思うのです。

iPhoneの充電に関する仕組みは、ショートカットでプログラムをちょっと触った程度でわかるほど単純ではないはずです。それに、人によって利用環境も違うわけですから、仕組み化はできないはずです。

そこで今回は、「充電完了までの時間ショートカット」の中身をチェックしながら、その内容が役に立たないであろう理由をお話しします。

「充電完了までの時間ショートカット」の仕組み

私が手に入れたショートカットのレシピは以下のものでした。URLをクリックすれば、お手元のiPhoneでもショートカットを利用できます。

このショートカットを利用すると、現在のバッテリー残量から計算して、フル充電になるまでの時間を知らせてくれます。オートメーションを利用すれば「充電を開始したら完了時間を通知する」という具合に自動化することもできます。

ショートカットの中身を確認したところ、仕組みは比較的シンプルでした。噛み砕いてお話しすると、以下の内容になります。

  1. iPhoneの現在のバッテリー残量を参照する。
  2. 小数点以下の細かい数字を省略するため、四捨五入で1の位をまとめる。
  3. フル充電(100%) から 現在のバッテリー残量 を差し引いて、必要な充電量を計算。その値に、1%を充電するための時間である 1.7(分) を掛ける。
  4. 計算結果を四捨五入。
  5. 現在の時刻に、計算結果である 充電に必要な時間 を加えて、完了時間を算出する。

おおむね以上のような内容です。
Googleで検索し、他の類似レシピを参照しましたが、中身に多少の違いはあれど、やっている計算の中身は同じでした。

「充電完了までの時間ショートカット」の問題点

上記の計算式における問題点は、「1%を充電するために必要な時間が●分」と決めてしまっている点です。

確かに、仮に1%充電するために必要な時間が1分だとすれば、60分後には60%の充電が上乗せされる計算です。

高速充電により充電される量は一定じゃない

ですが、そもそもiPhoneの充電は等速で増え続けるわけではありません
iPhoneの設定アプリからバッテリー残量の履歴が確認できますが、充電量の増え方は真っ直ぐはなく、最初が急激に伸びて、あとから緩やかになっていきます。

いわゆる「高速充電・急速充電」と呼ばれる仕様で、「iPhone 8以降であれば約30分で最大50%まで高速充電できる」と公式サイトで示されています。

iPhoneの最大バッテリー容量は機種や使用状況によって異なる

また、iPhoneが示している「100%」が示している具体的な数値は、機種によっても異なりますし、ユーザーの使用状況によっても違います。

たとえば、私はiPhone 12 Pro Maxを愛用していますが、すでに3年以上使用しているため、バッテリーの最大容量は76%まで落ち込んでおり、新品のときよりも24%ほど減っている状態です。

私のiPhoneが示す「100%」と、新品のiPhone 12 Pro Maxが示す「100%」では、容量に大きく差があるため、おなじ1%を充電するために必要な時間も違ってきます。

この違いを考慮せずに、一律「1% = ●分」で計算してしまっては、正確な数値を出すことはできません。

充電に使用するガジェットによっても所要時間は変わる

iPhoneの充電時間は、給電する電力によって異なります。供給電力の大きいガジェットを利用すれば、それだけ早く充電することができます

過去にAppleが付属で配っていた充電器がありますが、これは電力が5Wしかありません。
それに比べて、Ankerの人気充電器「Anker Nano II」は、45W出力となっています。

充電器によって充電時間が短縮できるからこそ、Anker などのガジェットメーカーが取り扱っている充電器は人気があり、みんなこぞって時短をしたいと願うのです。

有線とワイヤレスでも充電速度は変わる

また、iPhoneはワイヤレスでの充電にも対応していますが、ケーブルを使っての充電とワイヤレス充電とでは、ケーブルのほうが早く充電できます。

最大電力が異なり、「有線では最大約30W」「ワイヤレスでは最大約7.5W」となっています。
この違いによっても、充電完了までに必要な時間は大きく違ってしまいます。

バッテリーの消耗具合も利用環境によって違う

バッテリーを充電している間も、バッテリーは消費しつづけています。したがって、iPhoneが消耗しているバッテリー量が多いほど、充電に必要な時間は多くなります。

たとえば、バックグラウンドで稼働しているアプリが多かったり、位置情報を取得しているアプリが多ければ、それだけバッテリーの消耗も激しくなります。

逆に「低電力モード」にしていれば、バッテリーの消耗を抑えることができ、充電に必要な時間を短縮させることができます。

結論:環境要因による違いが大きすぎて目安にもならないのでは?

以上のように、iPhoneをフル充電するために必要な所要時間は、ユーザーの利用状況によって大きく異なります。

これを単純化して「●分で充電できますよ」と示すことは、おそらく無理なのではないか?というのが私の意見です。参考値としても、おそらく役には立たないと考えています。

もし「過充電になるのが心配!」ということであれば、その点はご安心を。iPhoneでは、寝ている間の充電で過充電にならないように設計されています。
充電をしながら寝ても、実は問題ないのですよ。

  • この記事を書いた人

ばんか

Webディレクターとしてサラリーマンをやりつつ、個人でブログや執筆活動をするパラレルキャリアを実施中。 ITツールを日常で活かす方法を広く伝え歩くことをミッションとした「ITツールエバンジェリスト」です。AllAboutやYahooクリエイターズプログラムでも活動中。

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