Webディレクターの仕事

カスタマーセンターの本気。FUJIFILMの顧客対応はビジネスマンの鏡だった

私が愛用しているFUJIFILMの高級コンデジ「XF1」。これの調子が悪くなったので、しぶしぶFUJIFILMのカスタマーセンターに問合せをしました。



「お役所対応は嫌だなぁ」と思いながらダイヤルを回し、浮かない気分で声をかけました。

すると、予想に反して非常に親切丁寧な対応が返ってきたのです。これは意外でした。最近不誠実な企業とばかり巡り合っていたので、余計にそう感じたのかもしれません。

しかし、その反動を差し引いても、FUJIFILMの担当の方の対応には学ぶ所が非常に多かったので、その経験をシェアします。

もしあなたが、お客様と対峙するようなお仕事をされているのであれば、非常に参考になると思います。それでは参りましょう。

言葉の持つ力

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電話口での第一声から、非常にハキハキとした態度で受け答え頂きました。そして、私がカメラの不調をお伝えすると、非常に腰を低くされ、申し訳ありませんと謝罪の言葉を頂きました。

しかし、何と言いますか、言葉で表現しづらいのですが、丁寧で親切な言葉遣いの中にも明るさというか覇気があるというか。そんな印象を受けたのです。

普通、誰かに謝罪をしようとすると、尻込みしてしまって言葉に勢いや元気がなくなってしまいがちです。それは確かに、申し訳なさは伝わります。

しかし、元気の無さは自信の無さと受け取られてしまい、信頼感を失う原因になります。

その点、今回の担当の方は、言葉に自信があった。申し訳ないという気持ちと一緒に、「あっ!この人なら真摯に対応して頂けるだろうな」と思わせる気概を感じさせたのです。

小さな気配りの言葉

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「大変ご不便をおかけして、申し訳ありません」と、この言葉をかけて頂いたことに、私は正直非常に驚いたんです。

普通、カメラが故障した事実だけを抜き出して考えるなら、「ご迷惑をおかけしてすみません」と言うような言い回しになりそうなものです。それが「ご不便を……」と言ってくださって。

つまり、「カメラが故障」→「写真を撮れない(しかも年末でイベントが立て込む時期)」→「思い出を残せない」という、目に見えない部分まで踏み込んで考えて下さった結果の言葉だと受け取りました。

相手の方がどういう思いでこの言葉をかけてくださったのか、私には知る由もありません。ですが私には、私の機会損失部分まで想像してくださった結果の言葉なのだと感じたんです。

上辺だけの原因と結果ではなく、原因の先にある結果の結果まで考えて下さったことを、私は非常に嬉しく感じました。

対応策の提案と、その早さ

カスタマーセンターの本気 FUJIFILMの顧客対応はビジネスマンの鏡だった 3
さて、クレームが発生した場合は、それに対する対応が必要なわけです。謝って済む問題ではありません。その時、FUJIFILMさんは即座に以下の返答をしてくださいました。

・年内の返却が可能かどうか分からないので、すぐに確認する。(※電話を切って3分も経たずに折り返してくださいました)
・もし年内発送が困難な場合、代替機を送付しようと思う。
・このような対応でいかがでしょうか?(←これ超大切)

ここ最近、企業の不誠実さを目の当たりにしている私にとって、この対応策の提案が非常に嬉しかったんです。

今まで対面した不親切な企業は、すべて事後報告。「こういう点に不満がある」と伝えると「こういう対応を致しました」と結果ばかり報告してくるんです。

提案って、そういうものじゃない。「こういう対応ができるのですが、それでそちら様におかれましてはご理解ご納得頂けますでしょうか」というのが提案です。

協議の余地を残してくれる。これはつまり、会話をしようとする姿勢です。正面切って顔を合わせて話す態度です。

事後報告なんて、逃げの姿勢。結局は客の顔なんかみたくなくて、一方的に投げっぱなしにする不誠実極まりない対応なんだと、私なんかは感じてしまう。

いち消費者である私に対しても非常に紳士的に振る舞ってくださったFUJIFILMさんには、本当に感激いたしました。

あとがき:こういう事が当たり前にできる人が減っている

FUJIFILMさんの対応には、本当に驚きました。最後に電話を切った私の気持ちを想像できますでしょうか。非常に晴れやかで、何一つ不満のない、気持ちの良い気分です。

クレームはその性質上、マイナスの感情から向き合わなければなりません。それを、プラスに持っていくのは、非常に難しい。

ですが、本質だけ抜き出せば、そんなに難しいことではないんです。

その本質とは「消費者として扱うのではなく、一人の人間として扱う」という、この1点に尽きます。

「親切に」とか、「丁寧に対応する」ってのが大切なんじゃないんです。人 vs 人として、当たり前の気遣い・気配りができれば、そんなに大きなクレームには発展しません。私自身、「一人の人間として扱われている」と感じられたのが、一番嬉しかったんですから。

企業という膨れ上がった組織になると、組織 vs 人という構図が取られがちです。しかし、だからこそ「人として扱う」事が何よりも重要なんじゃないでしょうか。

FUJIFILMさんから頂いた対応は、そのまま私のビジネスマンとしての姿勢の見本にさせて頂きます。本当にありがとうございました。




  • この記事を書いた人

ばんか

Webディレクターとしてサラリーマンをやりつつ、個人でブログや執筆活動をするパラレルキャリアを実施中。 ITツールを日常で活かす方法を広く伝え歩くことをミッションとした「ITツールエバンジェリスト」です。AllAboutやYahooクリエイターズプログラムでも活動中。

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