いままでいろいろな万年筆を使ってきた。数万円するものもあったし、「万年筆といえばこのブランド」というものを使った経験もある。
なのに、無印良品の1,590円の万年筆に、過去一でテンションが上がってしまうなんて思ってもみなかった。
なんだろう。
書き味が抜群にいいとか、そういうことは全然ないのに、なぜか使いたくなる万年筆だった。
たぶん、デザインがどストライクだったのだ。手にとって、触って、握って、書いて。それらの動作ひとつひとつがわくわくするような、そんなデザイン。
実はこの無印の万年筆、評判はとても良いらしい。調べてみると、色んな人がレビューを書いていた。
ただ、ちょっと納得いかなかったのが「この値段で、この品質!」みたいなコメントが多いこと。
でもね、この万年筆、「値段の割に質がいい」なんてことはなく、僕にとってはどんな高級万年筆よりもテンションが上がる万年筆だったのだ。
決してコスパが良いからおすすめするのじゃない。これは、これ自体が、非常に素晴らしいプロダクトであった。
無印良品のアルミ製万年筆
全身がアルミでできていて、銀色一色に統一されたボディ。グリップ部分にはローレット加工が施されている。
キャップを外すと、これもまた銀色のニブ。この価格帯であるから、当然スチール製だ。噂ではドイツのシュミット社製らしい。
太さはF(細字)のみ。ただ、海外のFなので、日本でいうところのFM(中細字)〜M(中字)ぐらいのイメージだ。
キャップは回転式ではなく、スポッと抜くタイプ。気密性はそこまでしっかりしてなさそうなので、ちゃんと定期的に使ってあげないと、乾燥してしまうだろう。長期の保存にはきっと向かない。
基本的には、キャップをペンの後ろにさして使う。けれども、キャップを外した状態でも十分に書きやすかった。
インクカートリッジが付属してくるが、コンバーターを使用することも可能。しかも欧州規格なので、ペリカンやウォーターマンなどの海外メーカーのコンバーターをそのまま利用できる。
コンバーターを使えば、世の中に幾多もあるインクから好きなものを選んで使うことができる。一本あれば、無限の楽しみが待っているということだ。
あとがき
書き味だけで言ったら、おそらく二流ってことになるんだと思う。ちょっと紙に引っかかる感じがあるし、万年筆特有のヌルヌル感がイマイチ足りない。
でも、結局道具なんて、それを使う人の気持ちが湧き上がるものこそ、一番いいものなのだ。値段やブランドがすべてじゃない。
この無印良品の万年筆こそ、僕のベスト。
1本3万円以上するような高級万年筆よりも、僕にとってはこの無印のアルミ万年筆こそ、 “最高” に位置する万年筆となったのである。