ウェブディレクターとして活動していると、編プロさんに記事の作成を依頼することがあります。普段自分で文章を書いているので、人に依頼するのはなんだか不思議な感覚です。
しかし依頼した原稿が、必ずしも望んだクオリティで返ってくるわけではありません。中にはとても——申し訳ないけれどクライアントに提出できないレベルのクオリティである場合があります。
修正依頼する内容については傾向があり、私がよく指摘する項目をピックアップしてみました。自分で文章を書くときにも、ぜひ気をつけてみてください。
1. 意見や主張、メッセージがない
私が記事の作成を依頼をしていて、ライターは依頼を受けた記事を書く。この構図がよくないのかもしれません。
全体的に「書かされている感じ」が否めない文章であがってきます。つまり、読者に伝えたいメッセージがないのです。
普通文章というのは、「誰か」に「何か」を伝えたいから書くわけです。
しかし依頼を受けて書いている文章は、得てしてメッセージ性に欠ける場合が多い様子。事実の列挙であったり、一般論の羅列だったりして、最後まで読んでみると「結局なにが言いたかったの?」ということが少なくないのです。
文章にはメッセージが必要。伝えたいという意思が必須なのです。
2. 読み手やターゲットをイメージできていない
書いた文章を誰が読むのか。自分が書いた文章を、誰に読んでもらいたいのか。ブログを運営していると当たり前に感じる「ターゲット読者」ですが、これがポッカリ抜けていることがあります。
なので記事の中で主体がコロコロ変わったりします。
例えば、今読んでいただいているこの記事。私は「文章を書く人」に向けてこの記事を書いていますが、文章の途中で突然「編プロ向け」に話題が切り替わったら、読んでいる方も混乱してしまいますよね?
そういうことが実際に起こるんです。
仕事を受注して書いているライターでは、その記事が掲載されるメディアの運営方針やリピートユーザーを意識しきれないのかもしれません。
これはディレクターである私が伝えきれていないのも、問題点のひとつかなと反省中。もしあなたが依頼する立場なのであれば、「誰に向かって書いてほしいのか」をできるだけ具体的かつ明確に伝えてあげましょう。
3. 難しい漢字や用語を平気で使う
専門的な知識や経験をベースとして記事を書いてもらいたいので、その筋の専門家にライティングを依頼することがあります。
しかしそうすると、記事の内容が専門的になりすぎて、誰が読んでも文意が伝わらない記事になってしまう危険性があります。
前提知識を無視して、あたかも「知っていて当たり前」のように専門用語が羅列される。今まで聞いたこともないような単語が出てくる。日常茶飯事です。
ターゲットユーザーが同じような専門家向けなら良いのですが、素人相手に書くのであれば「難しい内容をわかりやすく簡単に」書いてもらうようにしましょう。
4. ストーリー構築が下手
ターゲットが不明瞭で、ゴールとなるメッセージが無いために、そこに辿り着くための「道筋の組み立て」が下手なこともあります。
文章の基本構造は、割とパターン化されているもの。「起→承→転→結」や「問題提起→提案→根拠」など、わかりやすいパターンがあるわけです。
これらはすべて、「どうやったらメッセージが伝わるか」を考え抜いた末に導き出された、自然な文章の流れです。
しかしこれがゴチャゴチャしているケースがある。
「根拠」が抜けているために説得力のない文章になっていたり、全く不要な「用語の解説」なんて項目が急に出てきたり。そんなことが珍しくないのです。
そんなときに使える原稿チェックのコツがあります。内容は全て無視して、「タイトル」と「見出し」と「結論」だけを抜き出し、それだけで文意が伝わるかどうかを見るのです。
5. 文章の基礎がない
最後になりますが、文章を書くための勉強をしてこなかったような失敗例もあります。
主語と述語が離れすぎている。無駄な接続詞が多すぎる。一文が長すぎて3行以上になっている。修飾語の位置がおかしい。やたらと長い主語。「〜することができる」や「〜という」などの不要な言葉で文章を間延びさせる。etc...
例を挙げたらキリがありませんが、こうした「文章を書く人なら学んでおくべき文章づくりの基礎」が抜けていることがあります。
執筆後記
上記の例はディレクターである私が事前に対応できる部分も多く、ディレクターとしての技量の足りなさを感じる部分でもあります。
もしあなたがライターなのであれば、「ターゲット」や「メッセージ」と「記事構成」については最新の注意を払うようにしましょう。