いつからだったか、もう覚えてもいないのですが、「文章を書くなら改行位置を揃えてあげると読みやすいよ」と教えてもらって、それを従順に守ってきました。
ビジネスメールでも、きちんと改行位置が揃う位置で改行をいれて、体裁をととのえるのです。そうすれば、左から右への目線の動きが一定になって、文章は読みやすい。
いまでも、一理あると思います。しかしいまは、すこし考え方が変わってきまして。「適当な文脈で改行をいれて、リズムと緩急を付けたほうが読みやすいのではないか」と考えています。
文章にリズムと緩急をつける
図で表すとこんな感じ。
左の画像が、いままでのぼく。文脈とか文意では区切らず、折り返す位置がおなじになるように改行をいれる形式です。
そして右の画像が、改行位置を調整して、リズムと緩急をつけた場合。「、」や「。」、熟語や文章の固まりなどを意識しながら、折返しの位置を微妙に調整しています。
これらふたつのケース。100人アンケートをとったわけじゃないので、確実な根拠を示すことはできないのですが、ぼくの感覚では「後者のほうが読みやすい」と感じています。
改行位置を固定した場合
前者のほうが、一般的ではあると思います。新聞や本など、決められたフレーム(枠)のなかで文章を書きおさめるときは、たいていはこの方法を使いますからね。
ですが、この方法をつかうと、文章の意味にそぐわないタイミングで、ことばをブツ切りにしなければならなくなります。これがよわいところなんですよね。
だから、タイミングによってはとても読みにくい文章ができあがる。とくに一文が長くなったりすると、折返しの位置で何度も読み返さなくちゃいけなくなります。
改行位置を調整した場合
なので最近は、こだわりを捨てたのです。
「改行位置はそろえるべきだ」という "あたり前" を一度捨てて、目で見たときのバランスを考えるようになりました。つまり、文意や単語など、そこが自然な区切りとなるタイミングで改行をいれるのです。
ただし、一行ごとの文字数がバラバラだと長さがまばらになりすぎて、それはかえって読みにくい。なので、行ごとの文字数が大きくブレないように配慮しながら、文章をつくります。
大切なのは「目でみて読みやすいかどうか」です。
文章をデザインする力
ぼくが目指す理想は、読み手が考えなくてすむ文章。ひだりからみぎに目をながすだけで、さらさらと意味が頭のなかに流れ込んでくる。そんなことばをつないでいきたいと思っています。
むかしからこの意識は持っていましたが、最近はより一層強くなってきました。というのも、リモートでの仕事が増え、Slackをはじめとした「ツール」を通しておこなうコミュニケーションが増えてきたからです。
文字に書き起こした言葉は、丁寧に扱わなければなりません。話しことばなら、相手の表情で読み取れるものもあるでしょうが、書き起こした文章は一方通行です。
ぼくが作った文章を、相手が「解釈」してしまったら、それはぼくの意図と違ってしまうかもしれません。
「誤解」
「すれ違い」
「カン違い」
ときには「言った言わない論争」の引き金にすらなります。だからぼくは「文章をデザインする力」が、いまこそ問われているのだと感じているのです。