電子書籍がどんどんと普及している昨今。それに伴って、ある問題が浮き彫りになってきています。
その一例が以下の件です。
株式会社ヤマダ電機が運営する電子書籍ストア「ヤマダイーブック」が7月31日に閉鎖される。今夏をめどに実施するシステム改修にともなうものだという。当初は「購入した電子書籍は新サービスに引き継がれず、返金も行わない」と告知していたが、5月29日夕方にこれを一転。ダウンロード(DL)済みコンテンツを新サービス移行後も閲覧できるよう、調整を進めるとしている。
電子書籍の問題のひとつは、お金を払っても所有権が得られるわけではないという事。電子書籍の購入は、その使用権を購入することなのです。
サービスが終了したら読めなくなる
電子書籍の欠点は、紙の本のように、自分が "所有" できるわけではない点にあります。あくまで私は、電子書籍コンテンツを閲覧する権利を購入しただけ。
例えば、私が購入したKindleの電子書籍。仮にKindleと言うサービス自体がなくなってしまったら、私はKindleで購入した一切の電子書籍を読めなくなってしまうのです。
2012年のこと。リンという名で認識されているノルウェー人女性のAmazon顧客が事前の警告や説明もなくKindleへのアクセスを取り消された。彼女のアカウントは閉鎖され、Kindleはリモートで初期化された。これにより彼女が購入した作品は単純に消失した。
私が年間100冊の本を買って、それを家の本棚にしまっておけば、それは半永久的に私のものです。窃盗や火事の被害に合わない限りは、その本を読み続けることはできるでしょう。
しかし電子書籍の場合は違います。1万冊の電子書籍を買ったとしても、Amazonの裁量一つで、明日から読めなくなってしまうかもしれないのです。
しかもそれは、Amazonがサービスを止めるまでもなく、私のアカウントを凍結してしまえば済んでしまう。
冒頭に記述したヤマダ電機の「ヤマダイーブック」の件もこれと同じ。せっかく買ったのに、サービス自体が止められたら、今までかけたお金がすべて無意味になってしまうんです。
電子サービスは、形のないものにお金を払うことになります。現実のモノを買うのとは少し違って、そのサービスを利用するためにお金を払っていると認識した方が正しい場合が多いのです。
Kindleコンテンツのダウンロードおよび当該料金(適用される税金を含む)の支払いが完了すると、当該コンテンツプロバイダーからお客様に対して、Kindleやリーダーアプリケーションまたはその他本サービスの一部として許可される形で、Kindleストアより指定された台数のKindleまたは対象機器上でのみ、お客様個人の非営利の使用のみのために、該当のコンテンツを回数の制限なく閲覧、使用、および表示する非独占的な使用権が付与されます。
Kindleストアの利用規約を見てみても、付与されるのはあくまで使用権。お金を払っても、コンテンツを購入できるわけではない点を覚えておきましょう。
それを踏まえて、信頼できるサービスを
そこで考えるべきは、どこで電子書籍を購入するかです。
電子書籍の市場は年々大きくなり、新規参入する企業も多くなってきています。
しかし、あまり規模の小さい企業のサービスを利用するのは、私はちょっと怖い。いつそのサービスが終わってしまうか不安なんです。
今まで貯めこんできた本が一気に読めなくなってしまったら、ショックで立ち直れなさそう。
従って、電子書籍を購入するならKindleでと決めています。先駆け的な存在であり、今もなお電子書籍業界を引っ張ってきている企業であり、世界的な企業だからこその安心感があります。
日本で利用できるサービスは他にも「honto」「GALAPAGOS Store」「BookLive」など、様々なものがあります。自分が本当に安心できるサービスを見極めることが大切になるでしょう。
あとがき
そういう意味では、実物の本を買って、それを自炊するのが一番安全なんでしょうけどね。それはさすがに面倒で……。
今はまだまだKindleのお世話になりそうです。