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あたたかいお湯と、日本語の絶妙なニュアンスの違いを使い分ける4歳

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朝、娘の歯を磨き終わって、いっしょに洗面所にむかう。口をゆすぐための水をコップに注ごうというときに、娘がぼくにこう言った。

「あったかいお湯にして」

まぁ意味は伝わる。しかし厳密にいえば「お湯」とは「あたたかい」ものであるので、「あたたかい」は不要なのではないか。

それはぼくの中に浮かんだちょっとした疑問だった。「あたたかい」を付けることが間違いだと、確証もないので、べつにそんなことを指摘もしないし、正そうともしない。

ようやくこの表現が正しいものだと、自分のなかで結論を出せたのは、その日の昼過ぎだった。

彼女にとって大事だったのは「お湯」ではなく「あったかい」のほうであった。

「冷たい水」では都合が悪いのは間違いないが、「熱いお湯」でもダメなのである。おそらく「ぬるいお湯」でも具合はよくなかっただろう。

彼女が求めていたのは、手で触れたときに、ほのかに暖かさを感じるような、人肌よりは少し高い程度の温度を液体である。

これほどまでに絶妙な要求を、彼女は「あたたかいお湯」という短い言葉で表現できたことに、ぼくは何故かとても感動しているのだ。

これが日本語の妙というべきだろう。

ぼくは日本語の教師では、もちろんない。ただ親として、子どもに、生活で必要な言葉を教えただけ。いや、教えたというほどでもない。ただただ日々、話しかけただけだ。

彼女がそこから、自分自身の力で習得したのだ。この絶妙なニュアンスの違い、使い分けまでも、彼女は自分のものとしてしまったのだ。齢4歳の女の子が、である。

「は」と「が」の絶妙な違い

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ちなみにこれはちょっと難しい。みなさんはこの違いがわかるだろうか。

終わりは始まりだ。
終わりが始まりだ。

どうだろう。わかっただろうか。「なんとなくわかるんだけれども、言葉で表現するのがむずかしい」といった人もいるだろうけれど、それは実に日本人らしい感覚だと思う。

例文の違い。それは、どちらを強調したいか、という点だ。

「終わりは始まりだ」といったとき、強調したいのは後ろの「始まり」である。

逆に、「終わりが始まりだ」といったとき、強調したいのは前の「終わり」になる。

夏目漱石の著書に「吾輩は猫である」というものがあるが、このタイトルでもっとも強調したかったのは「猫であるよ」という部分である。

これが逆だったら、ちょっとおかしい。「我輩が猫である」。なにやら急に、いばりちらした猫の姿が目に浮かんだ。

こういうちょっとしたニュアンスの違いが、日本語にはいくらでも存在している。ぼくらはこれらを、頭で考えることはほとんどない。

いつも、無意識に使い分けている。反対に、無意識に、あいての意図と気持ちを汲み取っているのだ。

こんなに繊細な生き物は、なかなか他にいないだろうね。

言葉へのアンテナ感度

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ここまで書いておいて、オチがなくて申し訳ない。ただただ、娘の成長に驚かされたできごとだったので、何か言葉として残しておきたかったのだ。

ただ、あえてこの話にオチをつけるなら、この「繊細さ」を大事にしなくちゃならんぞ!と、ぼくは結論づけよう。

なにごとも「感度」がある。アンテナの敏感さみたいなものだ。

日本語における絶妙なニュアンスは、なんとなく全国共通っぽいものだが、実はかなりの個体差がある。

つまり「鈍感な人」もいれば「敏感な人」もいるのだ。

「鈍感な人」が言い放った何気ない言葉。彼にとってそれは、悪意も、悪気も一切ない、もしかしたら冗談みたいなものだったかもしれない。

しかしそれを受け取ったのが「敏感な人」であった場合、これが問題だ。きっとその言葉の乱暴さに傷ついてしまうだろう。

自分が伝えたい想いがあって、それを相手に伝えようとしたとき、すこしでも相手の感度を意識できたら、きっとコミュニケーションはもっとうまくいくだろうね。

ぼくはね、阿吽の呼吸ってきらいじゃないんだ。

「話してくれなきゃ、言葉にしなきゃわかんないよ」っていうシーンも数々あるけれど、たとえば妻と一緒にいる家で、ほんの一言二言交わしただけなのに、心の芯のところで手を取り合った感覚があると、それはもう、天にも昇るほどの嬉しさだから。

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